リモートワーク(4)
皆様こんにちは、株式会社コアブリッジの柳です。
今回でリモートワーク編は終了です。
前回は、リモートワークの「ルール」まで記しました。
ありがちな誤解
オンライン業務に移行して「やはりうまくいかない」「以前よりも生産性が落ちた」という声をよく聞きます。
オンライン化が適さない職種ももちろんあるでしょう。そうでない場合に、やり方を変えたので、すべてが理想的に進むはずはなく、従来と比べてできないことも当然あります。
それを除いたとすると、うまくいかない原因は本当にオンライン化にあるのでしょうか。
リモートワークがうまく機能しない時に、それを環境のせいにしてないでしょうか。
「そもそも、本来の環境でうまくいっていたのか?」という問いも必要不可欠です。
変化に対応できていないことを新しい方法に責任転嫁している、従来もうまくできていないことを新しい方法のせいにしている、ということは往々にしてあります。
これはオンライン化に限らず、仕事をするうえであらゆる場面でこれまでもなんどもされていることで、同じことが別の事象で現れているだけです。
現在置かれた環境で最大限対処する
環境が一変した、これはどうしようもできないことで、その変化に対応するしかありません。
あれがない、これは無理、云々をあげつらっても何も解決せず、なんとか進めようとしている人の足をひっぱるだけです。
不便が残るのもやむなし、使える機材やインフラ、物品等で先に進め、不足するものは手順やルール、方法等で補うしかありません。
もちろん失敗はありますが、都度改善・改良していくほかありません。
幸いなことに、人間は良くも悪くも馴れて順応していき、割り切ったり別の対処法を編み出したりしていくものです。
当方も、この4月から完全リモートワークに移行しましたが、機材等で新しく購入したものは実質なく(買い足したのはケーブル類とかの小物くらい)、手持ちの古い機材をかき集めて環境を作って間に合わせ、あとはやりながら徐々に整備・改良していきました。
第2回や第3回で述べたリモートワークに必要なものもそれに由来し、今も工夫と改良を続けています。
その中で実感したこととして、最初は機材やシステムの充実が喫緊の課題でしたが、それを過ぎると「やり方」の問題に変わってきます。
媒体(紙→電子など)、役割と人数(主2+従2→主1+主2など)、ルール(これはやらない、これを追加、など)、手順(A→B→C→D→Eだったのを、BCを統合、Dを削除してA→BC→Eにするなど)、実施方法(一緒にやっていたのを分割する、その逆、など)等、大きなことから細かなことまで様々です。
もちろん、それを解決するのにITを手段として使うこともありますが、ITは関係なく工夫や改良だけで済ませることも多々あります。
こうなってくると、技術や知識等は二の次で、純粋に「現状をどう改善・改良していくか」という気概と実行力があるか、そしてそれを継続できるか、ということになります(実はそれが一番難しいことかもしれませんが)。
第1回から「ITは手段にすぎない、目的ありきのもの」と繰り返し主張しているのは結局そこに行き着くためです。
“テレワーク”という単語
当社Webサイト(いわゆる”ホームページ”)のアクセス解析(どのような人がWebサイトを訪問しているのかの分析)をしてみると、検索サイトから「テレワーク 何の略」という類のキーワードで検索をしてたどり着いている方が複数人いらっしゃいました。
第1回でテレワークの英語のスペルは触れているのですが、補足してあらためて記します。
テレワークのスペルは”telework”で、tele+workからなる造語ですが、”tele”自体は「遠い」という意味の接頭辞です。
teleは、telephone(遠い所からの音→電話)以外にも、television(遠い所からの映像→テレビ)、telegraph(遠い所からの文字→電報)などでもおなじみですね。
teleworkは、正しくは、「電話(回線)を使った仕事」ではなく、「離れた場所から仕事をする」という意味です(まぁ、実質ネットワーク回線使うのが通常なので、どうでもいいっちゃいいのですが)。
他に、通勤をせずに自宅から仕事をするという意味の”telecommute”(commuteは「通勤」の意)という単語もあります。
もっとも、会話では “work from home” という言い回しをすることが一般的です。
完全な蛇足ですが、学生時に化学を専攻していた私は、”tele”と聞くと「テレフタル酸」という物質を思い浮かべます。
テレフタル酸とは、六角形のベンゼン環にカルボキシル基(お酢の主成分をが持っている部位です)が2つ結合している有機化合物で、カルボキシル基が六角形のうちでお互いに最も離れた場所に存在しているものを「テレ」フタル酸と呼びます。
#そうか、私が「テレ」を電話とすぐに結びつけないのはそういう理由だったのか…
私事で大変失礼しました。
4回に渡って「テレワーク」を題材に思うところをツラツラと書いてきました。
実は、このコラムの開始時期の情勢を鑑みて、当初書こうとしていたこととはのっけから外れてしまったのですが、今後のネタの仕込みは相応にできました。
次回以降で、このコラムの本題である「IT基礎知識」に立ち戻ります。
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