はじめに、リモートワーク(1)

はじめに

皆様こんにちは、株式会社コアブリッジの柳(やなぎ)と申します。
今回、IT(”Information Technology”の略。『情報技術』)について苦手あるいは詳しくないという方を想定して「ITの基礎を知っていこう」という意図で、本連載を開始することにいたしました。
「ITの用語や概念を平易に知る」「自事務所へのIT活用のきっかけにする」「関与先の方とIT用語が出てくる会話ができる」ということを狙ってはおりますが、堅いことは抜きにして、肩肘張らずに読み流せるくらいの文面で書き連ねていくつもりです。
ご興味がおありの方は、どうぞお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

これまで、株式会社日税ビジネスサービスからのご依頼で「海外ビジネス情報」や「海外基本情報」というコラムを執筆しておりました。アジア各国を出張していた時のことを記したものです(ITにはほとんど触れていません)。その中の「中国-上海編」の記事で、「カタカナ表記は外国人に嫌われている」ということを書きました。原語の発音を日本語表記したカタカナ語は外国人を混乱させるだけで(意味が理解できない!)で、原語で書いたほうがよっぽど良い、という、日本語を母国語としていない人たちの極めて強い主張です。同じことは技術的な専門用語についても言えます。特にITの世界では、数文字のアルファベットの略語が頻繁に出てきます。これも「ちょっと何言ってんだかわかんない」となる大きな原因の一つで、IT業界の人にすら当てはまります。よって、本コラムでは、言葉の説明の際には、原則としてアルファベット表記や何の略かを付記していきます。

当方のITに関する考えをあらかじめお伝えしておきます。私にとってITはあくまで「手段」であり、それ自体を「目的」とはしません。つまり、是が非でもIT化を、とは考えていないのです。これまでIT業界に長らく接してきたにもかかわらず、かなり前時代的と言えるかもしれませんが、この理由は、ITを目的と捉えてしまったがために実務に支障をきたす、という本末転倒の悪事例を、身の周りで数多く見てきているからです。技術に詳しくない人(や組織)も、詳しい人(同)も、そのような過ちを往往にして犯すのです。IT活用は「現状を変えたい」「変化に対応しなければ」という場合に考えるもので、それ自体は極めて真っ当ですが、本質の「目的と手段をはき違えない」ことは常に留意する必要があります。

リモートワーク

前置きが長くなりました、ようやく本題に入ります。
今の時勢を踏まえて『リモートワーク』を題材にして書いていきましょう。
新型コロナウィルスの世界的流行により、世の中が一変しました。その一つが、働く形態(場所)です。
テレワーク(Telework)、リモートワーク(Remote Work)という言葉を毎日のように見聞きしますが、これの土台になっているのがまさにIT、正確にはICTです。
ICTは”Information and Communication Technology”の略で『情報通信技術』を指します。ITに「通信」が加わっていますが、今日では当たり前すぎてIT=ICTと捉えてなんら問題ありません。
余談ですが、コンピュータの歴史からすると、一般的な人が通信(インターネット)を利用し始めたのは割と最近です。コンピュータが生まれて(1945年頃。諸説あります)から今日までを100とすると、インターネットが一般に普及したのは70あたりからです。
「通信」は「ネットワーク(Network)」を介して行います。人間同士の会話が人のつながり(=ネットワーク)を介して行われるのと同じですね。
パソコン(Personal Computer略してPC)よりもスマートフォン(Smart phone。”smart”は”賢い”の意)の普及のほうが圧倒的に早かった理由の一つが、電話機を入手すれば通信機能も付随していて、何もせずともICTによる利便性を享受できたからです。
言わずもがなですが、テレワークは通信基盤(=ネットワーク)があって実現しています。

ICTは「場所を選ばない」すなわち「有事に強い」という強力な長所を生み出します。
2011年の大地震の時に、電話(通話)がしばらく不通になったのに対し、携帯電話の通信サービスは利用でき、連絡手段としてあらためて見直されました。その時は主に情報量が少なくて済む文字情報のやりとりに使われましたが、今回のコロナ禍では通信網に影響はないため、音声・画像・ファイル共有によりテレワークが実現しています。

テレワークは、日本では今回のような有事の退避策としてやむなく使われたのが実状ですが、国土が広い国ではこれまでにも当たり前に使われています。私がこれまでに関与したところでは、例えば米国やインドネシア、マレーシアなどです。これがようやく日本でも必要に迫られて導入され、結構使えることが実証されました。コロナ後でも一定数は定着するでしょうし、そうあることを強く願っています。


初回の今回は前置きが長くなり、あっという間に字数が尽きてしまいました。
次回も、リモートワークにまつわることを書いていきます。


※本文中の情報、状況、数値等は執筆時点のものです