5G
皆様こんにちは、株式会社コアブリッジの柳です。
毎年秋の発表で注目を浴びるApple社の新型iPhone、今年発表・発売されたiPhone12シリーズの目玉の一つは「5G」対応でした。
iPhoneの対応により5Gの普及に拍車がかかると期待されています。
今回は、携帯電話の「5G」について書き記していきます。
5Gとは
5Gは”5th Generation”の略で、携帯電話通信方式の「第5世代」を意味します(通信量を表す単位でも使われる”ギガ”ではありません、念の為…)。
5Gに限らず、携帯電話の世代を「#G」と表記します。
5Gのサービスは、2018年末から米国や韓国を皮切りに開始した国が出てきて、日本では今年(2020年3月)にようやく提供が始まりました。
携帯電話の新方式は、インフラ(通信基盤)の整備に多大なコストと時間がかかり、対応端末(電話機)も当初は高額で、普及するまでにしばらく時間がかかるのが常です。
3Gや4Gなど、一つの世代の通信方式は、およそ10年間使用されて、次の世代に交代してきています。
各世代が使われた大体の年代は、
1G:1980年代、2G:1990年代、3G:2000年代、4G:2010年代、です。
通信方式が新方式に変わると、端的に言えば「速く」なるわけですが、進化による利点は他にもあります。
携帯電話は、無線を使って利用するため、大勢の人が同時に使用すると、つながりにくくなったり、応答が遅く(=遅延が大きく)なったりします。
5Gの利点は、高速に加え、同時接続数が増える、遅延が非常に小さい、ということです。
携帯電話の仕組み
通信方式以前の話になりますが、携帯電話は昔の”自動車電話”で使われていた技術を発展させたもので、利用者が使っている端末(携帯電話機)が、無線を使って、まずは「基地局」とつながります。
基地局は、電波を送受信するアンテナが付いた装置で、ビルの屋上や電柱などに設置されているのを街中で見ることができます。
利用者が移動して電波が弱くなると、強い電波を発する近接の基地局と接続し直すことで、移動通信を可能にしています。
携帯電話の画面上部にアンテナのアイコンが表示されていますが、あれは基地局との繋がりの強さを表しています。
基地局だけでは、同じ基地局に接続している人(機器)の間のみの通信になってしまうため、複数の基地局を束ねる「基地局制御局」というものを設け、異なる基地局に接続している利用者(機器)同士の通信も可能にしています。
基地局制御局同士は既存のネットワーク(有線)を使ってつながっており、日本国中で、ひいては世界中で携帯電話が使えるわけです。
固定の電話網をあらたに整備することと比較すると、無線電話網は設置がしやすい(利用者端末をケーブル接続する必要がない)ため、新興国では固定電話よりも携帯電話が普及しています。
1Gから4Gまで
携帯電話は、アナログで実現→デジタル化→より速くより効率的に、のように進化してきました。
最初の1Gから現在主流の4Gまでの特徴をざっと挙げると、
1G:アナログ音声通話
2G:デジタル音声とSMS(Short Message Service:短い文章のやりとり)、後にデータ通信
3G:IMT-2000(W-CDMAもしくはcdma2000)という方式で、多人数を効率的に接続できるような小難しい技術が使われ、また、常に3つの基地局と接続して通信品質を高める(切れにくい)考慮がなされています。通信も劇的に速くなりました。
4G:現時点(2020年11月)で最も普及している方式で、商業的にはLTE(Long Term Evolution)やWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)という2つの通信規格が該当します。
なお「2.5G」「3.5G」「3.9G」と呼ばれる世代もありますが、高速通信を先取りして提供したものの通称です。
2.5Gは、ドコモ社のiモード(i-mode)を実現していた通信と言えば「あぁ、あの時代の方式ね」と察しがつく方も多いでしょう。
3.5Gは、EV-DO(Evolution Data Optimized/Only)方式などで高速通信を可能にし、このあたりから、通信速度の不安がなくなってきました。
上ではLTEやWiMAXは”商業的には”4Gと書きましたが、実際には3.9Gで実現されています。
5Gで何ができるの?
現在の4Gでも通信速度が足りていて5Gのメリットを実感しない人も多いでしょう。
つまり、現存のサービスにおいては、大容量の通信が必要な場合を除けば、4Gでも十分であり、むしろ5Gは新しいサービス向けのものといえます。
先述のように、5Gの高速以外のメリットは、同時接続数が多いことと、遅延が小さいことです。同時接続数が増えるということは、人間が通話や通信に使うだけでなく、人間以外のモノも携帯電話の無線を使った通信が容易になるということです。
しかも、その通信の遅延が非常に小さく、即座の応答が必要な用途にも適用できるのです。
すぐにイメージできるものとして、自動運転、遠隔操作、遠隔監視などがありますが、まだ世の中に出てきていない使い方がこれから多数実現されていくでしょう。
5GとIoT
“IoT”という単語もお聞きになったことがあるでしょう。
“Internet of Things”の略で、モノをインターネットでつないだもの、という意味です。
先述のように、携帯電話の5GはIoTと相性が良く、逆に言えば、IoTをより実用的にすることを意識して5Gが作られているとも言えます。
IoTの解説はそれだけでコラム何回分かになりうるため、別の回であらためて取り上げます。
今号は以上です。
では、また次回お会いしましょう。
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