DeFi

皆様こんにちは、株式会社コアブリッジの柳です。
ブロックチェーンとその関連技術について記してきましたが、今回もその続きです。
今号では分散型金融”DeFi”ついて、いつものようにざっくりと書いていきます。

DeFiとは

DeFiは”Decentralized Finance”の略で、分散型金融と訳されます。なお、”ディファイ”と発音します。
先々号に述べたブロックチェーンを使った、管理者なしで運営する金融システムのことで、銀行などを通さずに当事者同士が直接取引できる仕組みのことです。
間に介在する管理者や金融機関がいないため、インターネットに接続できれば誰でもどこからでも利用でき(審査や認証が不要)、手数料(ガス代と言います)が圧倒的に安くすみます。
狭義の「暗号資産(仮想通貨)による投資や資産運用の方法」という意味でこの言葉が使われることもありますが、その場合にはDeFiを使用したサービスの実例のことを指しています。
「管理者無しで金融という極めて重要なシステムを運営できるのか」とお考えになるかもしれませんが、現実には、管理者(運営者)が完全にいないというよりは、従来の”中央集権型金融(Centralized Finance:CeFi)”よりは関与度合いや権限が小さい管理者(運営者)がいるというのが実際でしょう。
いずれにしても、国や利用者を問わず誰もが使える透明性の高い低コストの金融システムという点で期待されています。

DeFi誕生の背景にあるもの

日本では金融機関(中央管理者)が不正をおこなったり不便を強いることは基本的にありません(現実には起きてはいますが…)。世界でも指折りのサービス品質ですし、上限はあれどペイオフ制度もあります。世界的に見ると、低信用者が銀行口座を作れない、取引時間が限られている、入出金が自由にできない、審査が通らない、諸々の手数料が高い、ということはザラにあり、特に途上国では顕著です。
また、そもそも国自体が外貨の流入(入金)は歓迎するが流出(出金)は不可ということも多くあります。
こういった背景もあり、誰もが自由に使える低利用料の金融システムに対する渇望は、我々日本人が考えている以上に大きいものです。
なお、DeFiのサービスを利用するにはインターネット接続が前提ですが、これはスマートフォンの普及によりほぼ解決済みです(そう考えると、スマートフォンってあらためてスゴいですね…)。

スマートコントラクト

DeFiを実現している重要な技術が「スマートコントラクト(Smart Contract)」です。
前回の”NFT”で登場しているキーワードですが、ブロックチェーン上で動くプログラムのことです。
「この条件になったらこういう処理を自動で行う」というプログラムを作成し、公開し、DeFiのブロックチェーンに組み込みます。これにより中央管理者が不要となり、結果的に処理時間短縮とコスト削減が可能になります。
DeFiの代表的なサービスに”レンディング(Lending):暗号資産(仮想通貨)の貸し借り”や”DEX(Decentralized EXchange):暗号資産(仮想通貨)同士の交換取引所”などがありますが、これらはスマートコントラクトにより実現されています。
また、スマートコントラクトにより自動処理が実装されてしまえば、中央管理者の都合によりサービスが終了されるということが起きず、サービスの継続が約束されるのも長所の一つです。
スマートコントラクト自体はDeFiに特化したものではなく、金融取引以外の”契約”にも適用できます。例えば、金銭(正確には金銭の”トークン”。トークンについては前号を参照)の代わりに投票権や議決権(ガバナンストークン:Governance Tokenといいます)を扱えば、組織における物事の決定に使え、管理者なしで組織運営を行うことができます。このように、分散型で組織運営する仕組みのことをDAO(Decentralized Autonomous Organization:分散型自律組織)といいます。DeFiはDAOの一形態です。

DeFiの課題

中央管理者がいないということは、問題が起きたときには全て自己責任です。詐欺行為、クラッキング(不正侵入や改ざん等)やバグ(システムの誤り)を含むシステムトラブル、暗号資産(仮想通貨)の変動損失などのリスクは常にあります。
また、国を問わず誰もが自由に使えるということは、法規制が困難であり、マネーロンダリング(Money Laundering:資金洗浄)対策も必須です。

なにぶん新しく生まれた技術や仕組みである上、実際にいくつかの問題も起きており、御多分に洩れず法などの整備も追いついていません。認知度や理解もこれから徐々に、という段階ではありますが、今後何らかの形で従来型システムに取り入れられることが予想されます。

今号は以上です。
では、また次回お会いしましょう。

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