IoT、の前にインターネット、の前にネットワーク通信
皆様こんにちは、株式会社コアブリッジの柳です。
前回は携帯電話の「5G」を取り上げ、最後に『IoT(Internet of Things:モノのインターネット)』について少しだけ触れました。
今回は「IoT」について書き・・・のつもりでしたが、IoTに触れるには「インターネット」について触れる必要があり、どうせならばその前に「ネットワーク」「通信」について触れてみようと考えました。
ということで、IoTまでの道のりは少し長くなりますが、ネットワークと通信から順に書いてまいります。
ネットワークと通信
ネットワーク(Network)とは、今更の言葉ではありますが、文字通り、「網(Net)のようにつながっていること」という意味で、ITにおいてはコンピュータ同士が有線あるいは無線で接続されていること、あるいは接続のための手段を指します。通信する前提になるわけですね。
コンピュータの通信のことを英語でCommunication(コミュニケーション)というのですが、初めて知った時には「え、コミュニケーションっていうんだ」と思ったものでした。日本人が使っている”コミュニケーション”という単語と”通信”の意味の間に違和感を持ったためですが、つまるところ、コンピュータ同士が会話をするようにデータをやりとりしているということなのですね。
今はコンピュータ(スマートフォンやタブレット、それ以外の機器も含みます)がネットワークでつながって通信をしているのは当たり前ですが、コンピュータ同士がつながって会話(通信)をしているというのは、どうやって実現しているのかちょっと不思議です。
以下、仕組みについて簡単に説明していきます。
通信を実現している仕組み
まずは人間のコミュニケーションについて考察してみます。
ドアがノックされると、「用があります、入ってもいいですか?」という合図と察し、「どうぞ」と返事をして中に招き入れます。または、数秒待っても返事がなければ、ノックが聞こえなかったことを考慮してもう一回ノックし、それでも無応答ならば相手が留守と判断して入室せずに立ち去ります。
これは、入室におけるコミュニケーションの作法、コミュニケーション方式と言えます。
コンピュータの通信においてもこれと同様のことが行われています。
コンピュータ同士をケーブル等の媒体でつなぎ、電気信号の送受信が可能な状態にします(厳密には、この「媒体」や「電気信号」にも方式(ルール)があるのですが、ちょっとここでは割愛します)。
通信し合うコンピュータの間でやりとりされる電気信号には背番号(管理番号)が振られていて、たとえば、
1番:あなたと通信したいんだけどいいかな?
2番:1番に対する返答(YesかNoか)
3番:Yesだった場合に内容を伝える
4番:ごめん、もう一回送ってくれる?
5番:通信終了するけどいいかな?
6番:4番に対する返答(YesかNoか)
7番:相手と通信経路を閉じる
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のようにルールを決めておけば、送受信する電気信号の背番号を使い分けることにより、相手への要求や返答を行うことができます。
2番と6番の「YesかNoか」や、3番の「内容」は、背番号の後ろに、相手に伝えたいことを続けて、背番号と一緒にひとかたまりにして相手に送ります。受け取った方は「あぁ、3番だ、じゃぁ、その後ろに書かれている内容を読もう」となるわけです。
実際の電気信号には、背番号や内容以外にも、送信元の住所、送信先の住所、信号の大きさ(文字数)、電気信号の順序、なども含まれています。また、相手から応答がなかった時にどうするか、再送依頼する条件、なども決めておきます。
上記のようなルールを設けておけば、同じルールを適用している相手との通信が可能になります。
この「ルール」のことを『プロトコル(Protocol)』といいます。コンピュータが相手と会話する時の”言葉”のようなもので、同じ”言葉”をしゃべっていれば通信ができるというわけです。
インターネットで世界中のコンピュータが通信できるのは、インターネットで接続されているコンピュータ全てが『TCP/IP』と呼ばれるプロトコルを”しゃべって”いるからなのです。
最初期のネットワーク「手紙」
別の視点で、人の営みにおける”通信”を考えてみましょう。離れたところにいる人同士の手紙のやりとりを例にあげます。
郵便の制度や基盤が出来上がっている今日では使えて当たり前すぎるのですが、これが実現していく過程がコンピュータネットワークの普及にも通じます。
郵便網ができあがるまでは、
- 手紙をしたため、相手がいる地域に出かける人に運んでもらう
- 手紙を運ぶのを商売にする人が出てくる。特定の地域で常時文通が可能になる
- 運べる地域を増やす。関与する人も増やす
- 制度化と基盤の整備を行い全土に広げる
こんな感じで順を追っていったのでしょう。
1を実現するには「手紙」「配達人」が必要です。
手紙 :相手に伝えたい内容(宛先や差出人の記載付き)
配達人:仲介する人や途中の道
と言えるでしょう。
これが有用とわかるや、2のように、郵便を専門に行う人が出てきて、「域内」の文通は実現します。
各地域間を結ぶことで、3の「地域間」の文通が可能になり、より範囲が広がります。
これを全地域(日本中、世界中)に広げるには、4のような、統一ルールや基盤が必要になります。
ITの世界でも同様の手順を踏んで、今日のインターネット(世界的規模の通信)ができあがってきたわけです。
今号は以上です。
では、また次回お会いしましょう。
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