IoT、の前にインターネット

皆様こんにちは、株式会社コアブリッジの柳です。
“IoT”(Internet of Things:モノのインターネット)に触れる前段として、前号では”ネットワークと通信”について記しました。
今号は”インターネット(The Internet)”です。

インターネットとは

Inter(〜の間)+Network(通信網)で、コンピュータネットワーク同士を結んだ広範囲のネットワークのことを指します。全世界のネットワークを結合すれば、広範囲=地球規模です。
発端は、米国国防総省(正確には、国防総省下の高等研究計画局ARPA:Advanced Research Projects Agency)が主導して行った、敵国から攻撃を受けても通信を維持するための研究で、ARPANETと呼ばれていました。
後に、ARPA/ARPANETの頭に国防(Defense)の”D”がついて、DARPA/DARPANETと名前が変わりました。時は1960年代、冷戦時代でした。
通信経路が1本(一通り)だけだとそこを攻撃されれば通信が断絶してしまいます。そこで、通信経路を複数本設けて網目のようにしておき、どこかが破壊されても別の経路を使って目的地に到達するような仕組みを実現しました。これが今日のインターネットの始まりです。

異なる経路を使って通信を行う仕組み

通信データを小分けにして送り、それぞれの小データがどこを経由してでも最終的に目的地に届けば、小データを結合してデータを復元し、通信を維持できます。このように、小さなデータに分けて、最終的に復元させる通信方式をパケット通信(Packet:小包)といいます。
イメージとしてはこんな感じです。
『こんにちは』を「1:こ」「2:ん」「3:に」「4:ち」「5:は」に分解して別個の小包にして送信します。途中どのような経路を通っても(中継する郵便局が異なっても)構いません。目的地にたどり着いた文字たちを集めて順番に並べて復元すると『こんにちは』になります。
途中データが消失したことを考慮して、例えば「4番目が届いていない、再送してくれ」という機能もあります。

ネットワーク同士を結ぶとは

異なるネットワークを結ぶには「接続を行う物理的な機器」「共通の通信方式(プロトコル)」が必要です。インターネットは「ルーター(router。routとは道のこと)」という機器と、「TCP/IP」というプロトコルにより実現されています。
“プロトコル”は、前号に出てきましたが、通信のための共通ルールのことです。”TCP/IP”という名前が小難しく思えるかもしれませんが、色々な細かい通信ルールをひとまとまりにしたため、代表格のルールであるTCPとIPをプロトコル名にしただけです。
なお、この”IP(Internet Protocolの略)”というルールのおかげで、世界中のどのコンピュータにもデータを届けることができます。いうならば、配達機能を司っているインターネットの立役者です。
“ルーター”はネットワークの接続機器のことです。NTTなどの通信事業者が敷設している光ファイバー等にルーターを接続すると、ルーターを仲介して自分が所属しているネットワークが他のネットワークとつながり、結果的にネットワークの輪が生まれ、それにより世界中とつながるわけです。

インターネット上のサービス

インターネット自体は、上述のように、TCP/IPという通信方式に基づき、ルーターという機器を仲介して相互接続された広範囲の通信網にすぎません。世界中に道路と物流の仕組みが整備された状態ではありますが、ただそれだけです。この通信基盤上で様々なサービス(便利な機能といったほうがわかりやすいでしょう)が展開されているために、利用者は利便性を享受することができています。
サービスの代表格は、皆さんご存知の、ブラウザ(Browser)という閲覧ソフトを使った”ホームページ”の参照や電子メールでしょう。”ホームページ”は日本独自の呼び方で、本来の意味とはちょっと違っているので、”Webサイト(website)”あるいは”Webページ(Web page)”というのが妥当です。Webとは蜘蛛の巣のことですが、インターネットの通信網のことをWorld Wide Webといいます。World Wide Webを略記した”www”は、Webサイトのアドレスの冒頭に出てくるのでお馴染みですね。
Web技術は常に進化し続けており、黎明期には文字や画像の表示や他のWebページに飛んでいくだけでしたが、現在は本来個々のコンピュータ上で専用のソフトウェアを使って処理していたことをブラウザだけでできてしまうまでになっています。ましてやそれが手元のスマートフォンからでもできてしまうわけですから、技術の進歩は凄いことです。

サービスの仕組み

インターネット上のサービスは、”サーバー(Server)”というコンピュータによって提供されています。特別な機器というわけではなく、個人の所有しているパソコン(PC)をサーバーにすることも可能です。サーバー・コンピュータ上にWebページ提供用のソフトウェアやメールの配信機能のソフトウェアを入れて稼働させて公開すれば、利用者がそのサーバーに情報を取りにいくことで、サーバーからサービスを受けることができます。
世界中に存在するサーバーから目的のサーバーを指定するには、世界で唯一無二の”住所”を指定する必要があります。これを実現しているのが、”URL”そして”IPアドレス”です。
“URL”はUniform Resource Locatorの略で、サーバーを識別するためにつけられる、世界で唯一無二のコンピュータ名前です。当社のWebサーバーのURLであるwww.corebridge.co.jpは世界中にただ一つで、ブラウザにこのURLを入力すれば当社のWebサーバーにつながります。
住所を指定するにはもう一つ別の手段があり、それがIPアドレスです。IPアドレスとは、インターネットに接続している機器に割り振られた数字表記の住所で、たとえば、日本のGoogleの検索サーバーには216.58.220.131が割り振られています。利用者のパソコンやスマートフォンにもIPアドレスは振られていて、そのおかげでサーバー側から利用者の機器にデータが送られてくるわけです。
インターネット上の住所としてURLとIPアドレスが別々のものとしてあるように思えたかもしれませんが、インターネットの裏側では、URLがIPアドレスに変換されてからデータの送受信がなされています。先程のGoogleの例で言えば、ブラウザに「www.google.co.jp」と入力すると、「216.58.220.131」に変換され、世界中のコンピュータの中から住所が216.58.220.131のものを探して、Googleの該当サーバーに到達する、ということが行われています。数字で表記するかアルファベットで表記するかの違いなだけで、最終的にはIPアドレスで処理が行われています。
極論すると、世の中の電子データにIPアドレス(正しくはIPヘッダ(IP Header)ですが、説明が長くなるのでご容赦を!)を付与してインターネット上に送信すると、そのデータはインターネット上を流れます。そしてこれが”IoT”を実現する原理です。

今号は以上です。
では、また次回お会いしましょう。

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