リモートワーク(2)

皆様こんにちは、株式会社コアブリッジの柳です。
前回は「IT+通信=ICT」「ICTにより場所を選ばない、有事に強い、という長所が生まれる」「IT(ICT)は手段であり、目的と混同すると失敗する」ということに触れ、リモートワーク(テレワーク)について書き始めました。今回はその続きです。

リモートワークの実感

当方も4月以降はリモート環境での業務に移行しました。お客様のご都合に合わせつつ、急遽突貫工事で環境整備とサービスの提供を進めていきました。試行錯誤をしていく中で、色々と気づいたことがあります。

  • 万能ではないが、思った以上に困らない
  • 「普段と比べてうまくいかないだろう」という先入観は、感覚的に、3割はあたり、7割ははずれ
  • あれもこれもはダメ。やることは絞る。絞り込みにより結果的にうまくいった
  • 打ち合わせの”はしご”やチーム間の行き来がしやすい
  • 性善説でいく。意外にサボらない
  • 移動時間がないのが最大の長所だが、その分業務時間も増えやすい
  • 伝え方は明確に
  • オンライン会議システム以外のコミュニケーション手段の整備が必須
  • 「放置されている」感を持たせない。必ず反応する
  • 個々人の環境(PCの性能、通信回線の速度、等)を整えることが不可避
  • 家庭環境(特に小さなお子さんがいる家庭)は要考慮。寛大に!
  • 実は良い「椅子」が有用

本稿では、リモートワークに必要な要素として「オンライン会議システム」「機器や通信回線等の設備」「目的」「情報共有の手段」「ルール」を挙げて、それぞれ言及していきます(字数の都合で、後者2つは次号に記します)。

オンライン会議システム

すでにお使いの方には説明は不要でしょう。
PC(Personal Computer:パソコン)の画面越しに会議を行う『オンライン会議(online meeting)』について、Zoom(”ズーム”と発音)のようなアプリの名前とともに毎日のように話題にあがるようになりました。コロナ前にはなかったことです。しかし、少し規模の大きな組織や、一同が集まれない場合の打ち合わせ手段として、「テレビ会議」「電話会議」「Skype(※)など無料通話サービスによる会議」などは、これまでもよく使われてきました(※Skype:スカイプと発音。PCやスマートフォン向けのインターネット電話サービスで無料でも使える。2011年に米国マイクロソフト社が買収した)。
企業向けのテレビ会議システムは相応のシステム導入が必要でしたが、今はオンライン会議のサービスを契約すればPCやスマートフォンで簡単に実現できます。
現在普及している一般的なサービスで、月次料金が一人あたり無料〜3千円程度です。無料プランでも40〜50分程度のオンライン会議を回数無制限で実施できます。

機器や通信回線等の設備

これについても説明は不要でしょうが、PCやスマートフォン等の機器、PCに接続するカメラとマイクとスピーカー(ノート型PCならば内蔵しているものが多いです)、ネットワーク回線が該当します。
他に「仕事の空間」「座り心地の良い椅子」も大事ですね。
「空間」は住環境に依存するのでどうこうしにくいものですが、その場合には別途(次号で)述べる「ルール」で補うなどの工夫が要ります。
「椅子」は、色々な人から異口同音に意見が出ました。事務所で使用している什器はやはり長時間の業務に適して作られています。体が痛くならない椅子は在宅業務をどれだけ快適に行えるかという点で直接影響してきます。

目的

設備を整えてオンライン会議ができればリモートワークと言えるのでしょうか?ここにも『手段と目的を混同すると失敗する』という落とし穴があります。
オンライン会議自体をしたいわけではありませんね。「リモートワークで何をするか、何をしないか」を決めておくことで、後々うまくいかなくなった時に軌道修正が容易になります。
例えば、
「事務所で行なっている業務を自宅で行いたい」→具体的にはどんな業務?どこからどこまで?
「訪問しておこなっていた打ち合わせを自宅で行いたい」→何を打ち合わせる?何は対象外にする?
のように、やることとやらないことの目星をつけます(実際にやってみて初めて判明することが多々あるので「目星」でOK)。
どうしてもリモートワークではできないことが出てくるため、それに対して「許容されるならば廃止や中止(中断)する」「別手段にかえる」「従来の方法で続ける」を決めることになります。
あれもこれもはできないため、腹をくくる必要があります。今回のような非常事態は改善の機会でもあり、普段過剰になっている事項を削減する好機です。
また、ITを得意とする人や組織にありがちなこととして、全てをITでやろうとするとむしろ難渋します。リモート環境でのワークをすることがやりたいことであり、非ITの方法を混在させても全く構わないのです。

「情報共有の手段」「ルール」については次号に記します。
では、また次回お会いしましょう。

※本文中の情報、状況、数値等は執筆時点のものです