IoT

皆様こんにちは、株式会社コアブリッジの柳です。
前回と前々回でネットワーク→インターネットと書いてまいりましたが、今回ようやく”IoT”に入ります。

IoTとは

“Internet of Things”の略で、モノのインターネットと訳せます。コンピュータに限らず、あらゆるモノをインターネットでつなげる、ということを意味します。
「コンピュータ以外のものがネットワークでつながるってどういうことだ?」といぶかしく思う方もいらっしゃるかもしれませんが、「まずはネットワークと相性の良い電気製品に通信機能を追加してネットワークにつなげるところから始まって、その対象が広がってきている」と考えれば想像もつきやすいでしょう。
“IoT”という言葉自体は最近見聞きするようになりましたが、モノをインターネットにつなげること自体は20年以上前から行われていました。
携帯電話はその代表格で、もともとは通話をするための固定電話機が、個人が持ち運べるように小型化された後、インターネット接続機能が付与されて、メールやWeb閲覧ができるようになり、今日では電子マネー決済や位置情報を使った場所検知など、文字通り様々なことに使われています。
他にも、例えば、ネットにつながる冷蔵庫などもすでに商品化されていますし、AIスピーカー(Artificial Intelligence Speaker)が家の照明や家電製品を制御したりしています。また、電車やバスが今どこを走っているのか分かるようになっています。これらは皆”IoT”を活用した例です。

リモコンとはどう違うの?

テレビやエアコンなどのリモコン(remote control)も、機器本体とリモートコントローラーの間で通信(多くの場合赤外線通信でしょうかね)を行っています。しかし、インターネットにはつながっておらず、あくまで二者間通信に閉じており、これはIoTとは呼びません。機器本体とコントローラー自体がインターネット接続機能を持ち、外出先からインターネットを経由してエアコン(air-conditioner)をオンにできたなら、それはIoTと言えます。これって、すでに実現されていますね。
#IoTと呼ぶか呼ばないかなど、利便性が享受できて生活の質が上がるならば正直どうでもよいのですがね…

実現の仕方は大きく二種類

「”モノ”をインターネットにつなげるってどうやるの?」と疑問に思う方も多いでしょう。
“モノ”とインターネットの接続は、「直接的」「間接的」の二通りあります。
「直接的」は、[モノA]-[インターネット]-[モノB] の形態です。コンピュータ同士がインターネットを経由してつながっているのと同じ方式で、モノ自体に通信機能を持たせることができる場合です。スマートフォンや、通信機能付き家電などがその例で、この後述べる「間接的」の場合よりもより多くの制御が可能です。モノに通信機能を持たせる際に携帯電話の「5G」が有効ということは、以前このコラムでも述べました。
「間接的」は、[モノA(子分)]-[モノA(親分)]-[インターネット]-[モノB] の形態によるもので、こちらがIoTの本丸と言えます。
[モノA(子分)]自体にはインターネットにつながる機能はなく、ごく限られた情報(微弱な電波を発するとか、光を当てられたら反射するとか、撮影画像とか)を[モノA(親分)]に送るだけです。[モノA(親分)]にはインターネットに接続する機能があり、子分から収集した情報を集計などした後、インターネット経由で[モノB]に送信することができます。

おなじみのPOSだってIoT

最近、スーパーマーケット(supermarket)等の小売店で、セルフレジ(self check-out)が使われるようになってきました。購入する商品が[モノA(子分)]、セルフ・レジの機械が[モノA(親分)]に相当します。商品(子分)は光を当てられるとバーコード情報を反射させるだけですが、セルフレジ機(親分)は商品情報を読み取り、代金の計算をし、本部のコンピューターに売り上げ情報を送信しています。いわゆるPOS(Point of Sale)ですが、膨大の数の商品の売れ行きを集計し、在庫管理や商品企画などに使い、さらにはレジ打ちの人件費を削減しているわけです。

IoTで何が嬉しいの?

先述の、外出先からエアコンを制御できることも大きな利便ですが、IoTのさらに大きな長所は、情報の受発信が飛躍的に増えることです。
人の世でも、情報の提供者が100人よりも1億人のほうが色々なことができますし、情報を受け取る人が多いほど重要事項の周知や商業的な成功が実現しやすくなります。
情報の受発信者を少数→多数にする、あるいは、それまで声を上げることができなかった大勢から情報を受け取れるようにすることで、これまでできなかったことも可能になります。
ならば、情報の発信源や送信先を”コンピュータ”に特化するのでなく、世の中に散らばっている”モノ”に広げようと考えるようになるのも妥当なことです。
新型コロナウィルスの感染拡大により、各国で感染者の追跡と接触者の特定が行われ、ご承知のように、スマートフォンが使われました。個々人が持ち歩くスマートフォンは位置情報を発信しており、それを収集して解析しています。
また、日本でも都心の外出者数の比較がよく報道されますが、これも個人の携帯電話の電波発信状況から指定日時の特定の地域の人数を割り出しています。
近未来の技術として期待の大きい自動運転も、車単独では限度がありますが、道路(ガードレールや信号機や標識なども含みます)上の”モノ”と情報のやり取りをすることで制御の精度が上がっていきます。
商品やサービスのマーケティング(marketing)にも大きな利点があり、大衆から情報を取得して企画や運用に活かしたり、逆に宣伝を発信することもできます。
こうなると、収集した膨大なデータをどう使うか、ということが鍵になってきます。
IoTが真価を発揮するのは、インターネットにつながったモノから集めた情報を効果的に使った時なのです。

今号は以上です。
では、また次回お会いしましょう。

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