2014.12号 フィリピン編(1)

皆様こんにちは、株式会社コアブリッジの柳です。今号からフィリピン編をお届けします。

フィリピン概要

フィリピン共和国(Republic of the Philippines)は、面積が日本の約8割ほどの、2,109個の島からなる、ASEANで唯一のキリスト教国(人口の8割以上がカトリック教徒。その他キリスト教徒を含めると9割以上がキリスト教徒)です。
人口は2013年時点で9,748万人(数字はIMFの統計データによる)でしたが、今年の7月についに1億人を超えたとの報道(日本経済新聞社)がありました。
公用語はフィリピン語(フィリピノ語。タガログ語と実質同じ)と英語です。フィリピン人同士はフィリピン語で、外国人とは英語で会話をしています。
最近は英語の発音が奇麗な人が多いとよく聞きますが、実際には人によります。英語を話す人の割合は多いので、現地語ができなくても話が通じやすいのはありがたいです。

街の外観。
マニラ湾。奇麗な眺めですが、ゴミがたくさん浮いていたのが残念…

通貨はフィリピンペソ(PHP)で、この原稿執筆時点の為替レートは、1PHP=2.7JPYです。物価は、モノにもよりますが、”感覚”的には日本の三分の一から二分の一くらいでしょうか。
他のASEAN諸国にも言えることですが、実際の現地での価値は、価額の数倍あります。
フィリピンの平均年収は、フィリピン国家統計局の調査によると、2012年で23万5千PHP、今の円安の為替レートでおよそ64万円です。
一方日本人の平均年収は、国税庁の平成25年分民間給与実態統計調査によると414万円で、フィリピン平均年収の6倍以上あります。
100PHPは約270円ですが、実際には1,800円くらいの価値があるということになり、”感覚”以上にお金の価値は大きいです。現地で買物をする時やチップを渡す場合には、なるべくその地での価値を考慮するよう心がけています。
特にフィリピンでは貧富の差が非常に大きく、より注意が必要です。この辺りについては、フィリピン編の三回目で述べる予定です。

入出国

マニラの国際空港は「ニノイ・アキノ国際空港」略して”NAIA(ナイアと発音する)”と呼ばれ、第1から第4までのターミナルがあります。それぞれ地理的に離れているので、空港に向かう時やターミナル移動を伴う乗り継ぎ時には行き先を気にかけたほうがよいです。
入国時の手続きはいたって簡素で、イミグレーションを通って荷物を受け取るだけです。到着Visaも不要です。
出国時には、航空会社のチェックインを済ませた後、イミグレーションの手前にある窓口で空港税550PHP(※金額は最新のものをご確認ください)を支払います。
NAIAは残念なことに評判が悪く、NAIA1の老朽化、空港スタッフの対応の悪さ、タクシーのぼったくりなど、世界のワースト空港という不名誉な評価をされています。
私が利用したNAIA2は、こじんまりとした印象ですが、新しいターミナルのため設備面では不満はなく、賄賂の要求やぼったくりなどにも遭わなかったので幸いでした。後述しますが、空港建物を出た所に「空港コンシェルジュ」がいて、何かと教えてもらえてむしろ大変助かりました。
なお、帰りの便でのこと、出国手続きを済ませてベンチに座って搭乗時間まで待っていたところ、いつの間にか搭乗口が変更になっていました(よくあることです)。ふと顔を上げて搭乗口のドアを見たら全く違う便名の貼紙がしてあるので、あわてて係員に確認したところ、「変更になったのでxxの搭乗口に移動してください」とのこと。放送を聞き逃したのか未連絡だったのかは分かりませんが、気を抜いてはだめですね…変更案内もあわせて書いておいてくれると助かるのですが、それは求め過ぎでしょうかね。

入国直後

まず最初に調達するのは、毎度おなじみの、現地通貨と携帯電話用SIMカードとタクシーです。
両替所は出口の外に3件並んでいました。微妙にレートが違うので、見比べて、最低限だけ両替します(街中のほうが当然レートが良い)。
お次はSIMカード。他所の空港ではSIMカードを売っている店が必ずといっていいほどあるものなのですが、見当たりません。空港コンシェルジュに聞くと、店はなく代わりに自販機があるのでそれで買えとのこと。確かに自販機があって、カードを売っています。が、通信プランなどの説明書きがないので、どれを選んでいいのかが分かりません…やむなくここでの入手は断念して翌日街中で買うことにしました。
そして最後にタクシーの手配。御多分に漏れずここでもタクシーの客引きが多くて鬱陶しいこと!当然のように無視してタクシークーポン売り場を探します。が、見当たらないので、再度コンシェルジュにたずねると、タクシー乗り場でクーポンを販売しているとのこと。行き先によって乗り場が異なり「xxxに行くのなら○番乗り場だよ」と教えてくれました。その乗り場に行って「yyyホテル」と伝えるとクーポンを売ってくれます。金額はメータータクシーの倍額くらい(クーポンで530PHP。帰りのタクシーでは諸々込みで250PHPくらいだった)ですが、慣れない地で安心を買えるのであれば許容範囲です。
無愛想な運転手で、妙な所に行っていないかという懸念もありましたが、スマートフォンを使えないので確認のしようもなく、そのまま任せました。これまたどこの国にも共通の渋滞でしたが、無事ホテルに到着し、ようやく一息つけました。スマートフォンの依存症になっているのかもしれませんが、知らない土地でGPSが使えないのは不安なものです。

タクシークーポン。行き先を伝えて購入します。
写真は乗客用の控え。車両のプレートナンバーや運賃が書かれています。行き先がホテル名でなく私の名前になっているのはご愛嬌。
メータータクシーの倍額くらいですが、悪質なドライバーにぼったくられる恐れが減るので、安心料です。

交通事情

アジア諸国の首都ではどこも似たような状況ですが、マニラでも車の渋滞はひどいものです。渋滞の緩和策として高架鉄道が整備され、市民の脚になっています。MRT(Metro Rail Transit)、LRT(Light Rail Transit)の大きく二種類、計3路線あり、運賃は10〜15PHP(数十円)です。
午前中11時くらいに乗ったのですが、この時間帯でもえらく混雑していて、駅で切符を買うのに長蛇の列、電車に乗るのにも一苦労、車両に乗っても満員です。目的地に着くまで気が抜けないのでだいぶ疲れました…
興味深かったのが、座席に座っている男性の目の前に女性が立つと皆席を譲っていたことです。Ladies firstなんでしょうかね。そんな習慣があることを知らなかったもので、平気で座っていた自分はちょっと窮屈な思いをしました…

乗換駅での様子。通勤帰宅の時間帯ではないのですが、長蛇の列です。荷物検査をしています。
プラットフォーム。混雑時には階段から乗り場まで行列ができます。

今回はこれで終了です。次号はフィリピンの歴史をお届けします。
では、また来月お会いしましょう。

※本文中の数値やURL等は執筆当時のものです