2015.02号 フィリピン編(3)
皆様こんにちは、株式会社コアブリッジの柳です。
フィリピン編最終回の今号では、現地の様子をお伝えします。
2つのマニラ
フィリピンの首都はご存知のようにマニラですが、”マニラ”と言った場合に、マニラ市 をさす場合と、より広域の”マニラ首都圏(通称メトロ・マニラ)”をさす場合があります。メトロ・マニラは、マニラ市およびその周辺の16市1町からなる都市圏のことをさします。
今回は、マニラ市を中心に、加えてそのお隣のマカティ市についても少し触れます。”マニラ”と書いてあったら”メトロ首都圏”のことだと思ってください。
街の様子
フィリピンがASEAN諸国の中で唯一のキリスト教国ということはこれまでにも書きました。教会があってミサを行っていますが、街としては宗教色はさほど感じません。ASEANの他国ですと、仏教やイスラム教の雰囲気が割とするものですけれどね。
人々の外見も、中華系やベトナム系、タイ系ともまた違った容姿です。
メトロ・マニラといっても、地域によってだいぶ様子が異なるので一括りにはできませんが、観光客が集まるマニラ市(マラテ・エルミタ地区)が雑然としているのに対して、隣のマカティ市は整然としています。そのまま治安や貧富の状況を表しているかのようです。
マニラ市のほうは、街は奇麗とは言い難く、ゴミや汚水が道路にたまっていたりします。マニラ湾にもゴミがいっぱい浮いていました。
大きなショッピングセンターがあると思えば、歩いてすぐの所にスラムがあり、そこで生活をしている人が大勢います。そこでは大人も子供も道路脇で桶からくんだ水で体を洗っていたりします。貧富の差があることを知ってはいても、繁華街からさほど離れていない所でですから、実際に目の当たりにするとちょっと衝撃を受けます。
街をちょっと歩けば、物乞いをする老人や子供をあちこちに見かけ、「どこへ行くんだ?」と延々つきまとってくる男やしつこい物売り、ショッピングセンターでも男を引っ掛けようとする女などに出くわし(※真っ昼間です)、はっきり言って物騒で、疲れます…

携帯電話の SIM カードもここで買いました。
通りを歩いていた時のこと、10歳前後くらいの子供7〜8人がわーっと群がってきて、金をせびってきました。適当にいなしていると、ポケットに手を突っ込んできて金目のものを盗ろうとしてきます。相手が大人ならば毅然と無視していればいずれ去っていきますが、子供はそうはいきません、「まだかよ」と思うほど延々ついてきます。さすがにまいって、走って逃げました…
ホテルや両替所、ショッピングセンターには必ず警備員がいます。街中で両替をした後、警備員が曲がり角までガードしてくれました。両替に来た人を狙ったひったくりが多いためです。私は見かけませんでしたが、ショットガンや拳銃を持ったガードマンも当たり前にいるとのこと。とにかく用心するにこしたことはありません。
治安の面では要注意ですが、人々は陽気で人なつこい印象です。ラテン系とアジアがほどよく混じった感じとでも言えるでしょうか。英語での会話がしやすいのでコミュニケーションが取りやすいということもあるのでしょうね。
マニラ市中心部から電車を乗り継いで隣のマカティ市に行くと、がらっと雰囲気が変わります。
現代的な作りの商業地および高級住宅街で、巨大なショッピングセンターや高層ビルが建ち並び、オフィスで働く人を多く見かけます。清潔で、治安も良く、安心して街を歩けます。同じマニラでもこうも違うのか、と驚きました。
初めてマニラに滞在するという場合には、マニラ中心部よりもマカティのほうがいいかもしれませんね。


通信事情
フィリピンの2013年時点での携帯電話の契約率は104.5%、固定電話が3.2%と(出典:ITU )、周辺の国と比べると若干少なめの数字です。携帯電話の通信品質はあまり良くなく、つながらないことも結構ありました。
スマートフォンはもちろん出回っていますが、従来型(ガラケー)を多く見かけます。
ある調査によると、2013年時点でのスマートフォンの普及率は、シンガポールで87%、マレーシアで80%、タイで49%であるのに対し、フィリピンでは15%とまだ低い数字です(数字はニールセン・カンパニー合同会社のスマートフォンインサイトレポートより引用)。
フィリピンの食事
最後は、毎度おなじみの食事で締めましょう。 フィリピン料理と言っても、あまり馴染みはないかもしれませんね。味の特徴としては、甘味と酸味が強く、塩気は割とありますが、辛味はありません。酸味があるのは、温暖な気候なため、腐敗防止に酢を使うためらしいです。
食事があまり美味しくない、と聞いていたのでちょっと警戒(?)していましたが、そんなこともなく、私の口には割と合いました。 あるレストランに入った時のこと、メニューがタガログ語で書かれていて全く理解できません。仕方がないので、店員さんに、どういう料理なのか英語で説明してもらいました。把握していない料理もあるようで、何度か他の人に聞いたりしながらも、嫌な顔せずに親切に教えてくれました。何だか嬉しかったので、少し多目に注文してしまい、久しぶりに「もうダメ」というくらい満腹になりました…


国内の産業が育たず世界一の出稼ぎ国と言われるフィリピン。しかし、平均年齢は23歳と圧倒的に若く、経済成長率はASEAN内で一位、アジアでも中国に次いで二位を誇ります。距離的に比較的近く、貿易や要人の往来が多いという点でも、日本とは近しい国です。
これでフィリピン編は終了です。次号からは『タイ編』をお届けします。
では次回にまたお会いしましょう。
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