2015.11号 ミャンマー編(3)

皆様こんにちは、株式会社コアブリッジの柳です。
ミャンマー編最終回の今号では、現地(最大都市ヤンゴン)の様子をお届けします。

ヤンゴンの街の様子

街中に多くの仏塔があり、人々がお祈りをしている姿をよく見かけ、仏教の香りが強くします。
一方で、イギリス統治の影響も受け、欧州風の建物(市庁舎、裁判所、税関など)も立ち並びます。
ヤンゴンにもインド人街と中国人街があり、雰囲気や売っているものがどことなく違います。
ショッピングセンターやスーパーマーケットなどはもちろんありますが、小売店よりも市場や路上販売のほうが圧倒的に多く、9割を占めます(※数字は、日本小売業界による「ミャンマー・ハノイ・カンボジア最新流通視察会報告(ミャンマー・ヤンゴン編)」から引用)
路上販売がひしめく通りは、朝方などはかなり混雑していて、ものすごく活気があります。肉、魚、野菜、果物などの食料品から、生花や中古の携帯電話や何に使うのか分からないガラクタまで、様々なものを売っています。

路上販売の様子。所狭しと店が並び、縁日のような混雑です。
左は肉屋のコーナー。肉や魚がこれでもかと生々しく並べてあるのは圧巻です。

一時期よりは経済が停滞気味と言われることもありますが、都市の開発は止むことなく、規模を問わず建物や道路の工事がそこここで行われています。宿泊先の近くでも歩道の舗装工事をしていたのですが、私服姿の4〜5人が、粗末なスコップを使って、懸命にコンクリートを均していました。

歩道の舗装工事をしていました。スコップや木の棒を使って平らに均しています。

雨期のヤンゴン

先回訪れたのは雨季真っ最中でした(と言っても年の半分は雨季なのですが)。
雨が降り出すと、暴力的と言ってもいいくらいのものすごい土砂降りで、傘など役に立たず、とても外を歩ける状況ではありません。
しばらくすると小降りになるのですが、断続的に本降りになり、湿度もかなり上がります。
もちろん、ずっと雨天というわけではなく、晴れ間もあります。日が出ると午前中から暑くなりますが、風通しの良い日陰にいれば結構快適です。

交通事情

ヤンゴンの街で他の都市と大きく異なる点は、バイクが走っていないことです。
ヤンゴン市内のみバイクが法律で禁止されています(安全性やテロ警戒という理由)。とは言っても、自動車はあふれ、日常的に渋滞しています。
「車は歩行者が避けるもの」と主張しているかのような運転で、歩行時はだいぶ気をつけました。クラクションも終始鳴りっぱなしなところは、お隣インドと似ています。
街を走る車のほとんどが日本製の古い中古車で、全体の9割を占めます(※)。元々書かれていた日本語の社名がそのままにしてあったり、カーナビの日本語のエラー画面が表示されっぱなしだったりします。
現地の人が
「軍政時は車が一台○十万ドルもしてとても買えなかったが、今は△千ドルになり、ようやく買えるようになった」
と言っていましたが、実際に調べてみると、民政移管直前の2010年では、中古のクラウンが200,000ドル(当時のレートで1,750万円)、ランドクルーザーの新車が400,000ドル(同3,500万円)とありました(※)。これでは手が出ませんね…
(※数字は、一般財団法人日本自動車研究所による「ミャンマー連邦共和国における自動車登録・ 検査インフラの整備に係る実現可能性調査」から引用)
市民の足にはバスがよく使われていて、車掌がドアに立って大声で叫び、運賃を受け取ってお客を乗せています。
他の交通手段としてはミャンマー国鉄の電車やヤンゴン川を走るフェリーがあります。国鉄の車両はやはり中古車で、かなりの年代物です。

ヤンゴン川沿いの大通り。ご覧の通りバイクが走っていません。写ってはいませんが、左手にはフェリー乗 り場があります。
国鉄の電車。かなりの旧型です。左の尖った屋根の建物が駅。

インフラ状況

発展途上で、整備状況は悪いです。特に電気が不安定で、停電は日常茶飯事です。
出張先でPCや携帯電話が使えないと何もできなくなってしまうので、とにかく充電をこまめにしていました。
エアコンは不安定な電圧から機器を守るための制御装置に接続されています。暑くてエアコンを点けようにも、すぐには作動しないので、つい電源のOn-Offを何度も繰り返してしまいました…
携帯電話やインターネットの回線も不安定で、切れやすかったり、つながっても速度に期待はできません。
ただ、携帯電話業界は国営企業による一社独占状態から外資系二社が参入した状況に変わり、体制および品質面でも徐々に良くなってきているようです。

食事

最後はいつも通り食事で締めくくりましょう。 ミャンマー料理としては、カレーのような煮込み料理”ヒン”や麺料理が代表的でしょうか。ヒンは油が大量に使われ、日本人は胃がもたれたりお腹を壊しやすいと聞いていたので、あまり調子が良くなかったこの時は遠慮しておきました…
多民族国家ならではの各地の料理も豊富で、マンダレー料理、ラカイン料理、シャン料理など、各民族の伝統料理があります。ちょうど宿泊先の近くにシャン料理のレストランがあったのでシャン族の伝統料理をいただきました。
シャン料理は日本人の口に合うということで、確かに頼んだカレースープは油によるしつこさがなく、豆腐が使われた料理(揚げ豆腐を食べました)があったり、シャンカーソエという麺料理もかなり美味でした。

シャン族の伝統料理。日本人の口に合います。炒飯とポテトコロッケとカレースープ。
手前がシャンカーソエという麺料理。左上は豚肉角煮。緑色のサラダの下にあるのが揚げ豆腐。

11月8日に実施された総選挙で、アウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)が過半数の議席を得て、現政府も「平和的に政権を委譲する」と発表しているのは周知のとおりです。
歴史的な政権交代の実現が期待される一方で、政治未経験者による運営能力や軍との軋轢による内乱発生などに対して不安視もされています。
素朴で人なつこいミャンマーの人々の笑顔が見られる政治体制になるよう、切に祈るばかりです。

ミャンマー編は以上で終了です。次号からはシンガポール編をお届けします。
ではまた次回お会いしましょう。