2015.12号 シンガポール編(1)

皆様こんにちは、株式会社コアブリッジの柳です。
今号からシンガポール編をお届けします。

シンガポール概要

シンガポール共和国(Republic of Singapore)は、マレー半島の先端にある、赤道直下の都市国家です。ちょうど今年(2015年)で建国50周年を迎え、記念式典など様々なイベントが催されていたのをご存知の方も多いでしょう。
面積は東京23区とほぼ同程度で、人口は554万人(2015年10月時点。数字はシンガポール統計局Webサイトから引用)、居住する民族は、中華系が7割強、マレー系が1割強、インド系が1割弱を占めます。
公用語は英語、標準中国語(マンダリン)、マレー語、タミル語(インド系の言語)で、街中の標識などは大抵複数の言語で表記がなされています。英語がどこでも通じますが、いわゆる”シングリッシュ(シンガポール英語)”で、発音が聞き取りにくく苦労します。こちらの言っていることは理解してくれるのでその点は楽です。

チャンギ国際空港内にある建国50周年記念のオブジェ
地下鉄で見た工事中の衝立。英語、中国語、マレー語、タミル語で書かれています

日本との時差は1時間(日本が進んでいる)、通貨はシンガポールドル(以下SGDまたはS$と略記します)で、原稿執筆時のレートは85〜86JPY/SGDです。物価は日本とさほど変わらず、モノによって高い安いがある、といった所です。
赤道直下にあるため気温は一年を通して30度前後で、10月から1月くらいにかけては雨が多くなります。

シンガポールの入出国

シンガポールの空の玄関口はチャンギ国際空港です。世界一の評価を受け続ける、近代的で快適な空港です。
シンガポールは、30日以内の滞在であればビザは不要で、入国時に気をつけるべき事項も別段ありません。
出国時には、荷物のセキュリティチェックを行うタイミングが他の国の空港よりも遅く、搭乗口直前で行います。ジャケットなどの上着を脱いでX線チェックを受けるのは常ですが、Tシャツの上に長袖のシャツを着てボタンを開けていたら「シャツを脱げ」と言われました。こんなのは初めてです…

入国後の3タスク:両替、SIMカード購入、移動

両替所は空港のバッゲージクレームと同じフロアもしくは到着ロビーを出た所にあります。後者の両替所では携帯電話のSIMカードも購入できます。
シンガポールへ向かう飛行機内でもSIMカードを販売しているので、シンガポールドルを持っていれば機内で購入可能です。紙幣の手持ちがあったので購入すると、フライトアテンダントから、
「このSIMカードのパッケージは機内では封を開けちゃダメ。空港ロビーにあるSATSカスタマーサービス(というサービスカウンター)まで持って行き、そこで開通処理をしてもらうように」
と、ものすごい早口でまくしたてられるように説明を受けました。シングリッシュではなかったのが幸いで、聴き取れてよかった…
値段は15S$(1,300円くらい)、通信容量は5日間100GB、500分の国内通話と30分の国際電話、100通の国内SMSが可能という超大判振る舞い(!)です。
入国後、SATSカウンターで開通をしてもらいましたが、「使えるようになるまで30分くらい待ってね」と言われ、ホテルに移動する間はスマートフォンが使えませんでした。入手後すぐに携帯電話を使用したい場合には注意が必要ですが、後述のように、無料でWifiが使えます。
空港から市街地へは、タクシーか地下鉄MRTでの移動が便利です。金額は、タクシーで20〜30S$(1,700〜2,600円)程度、MRTならばその十分の一くらい、時間はどちらも30分程度です。到着ロビーを出た所で他の多くのASEANの国のようにタクシーの客引きにあうことがないのは助かります。
MRTを利用して市街地に向かう場合は、2駅先のTanah Merah(タナメラ)駅で乗り換えます。ドアの両側が開くので、行き先を調べておいて、左右どちらのホーム側の列車に乗り換えるのか確認してから降りるとよいです。

TanahMerah駅。ホームの天井でものすごく大きなファンが回っていて、ちょっと涼しい…
地下鉄の改札から。台湾やバンコクの地下鉄の駅と雰囲気が似ています

インフラ状況

電気、水道、通信、移動手段など、しっかりと整備され、全く不安がありません。水道水はそのまま飲めるほどです(とは言っても飲料用にはミネラルウォーターを買いますが)。なお、国土が狭く保水力が小さいシンガポールでは、水を自国内で賄うだけでは足りず、お隣マレーシアから輸入しています。
2014年時点での固定電話の契約率は35.5%、同携帯電話は158.1%(数値はITUの統計から引用)、スマートフォンの保有率が非常に高く、総務省の平成26年の調査では、93.1%という報告がなされています(日本は53.5%、米国は69.6%、韓国は88.7%)。
通信品質は高く、非常に快適に使用することができます。Wifiも店や人が集まる場所では大抵使え、空港では無料でIDとパスワードを入手することができます。
車の渋滞が他のASEAN諸国と比べて圧倒的に少ないのは大きな特長といえるでしょう。国で厳格な制度を設け、税金や登録料などを課して車両の増加に歯止めをかけています。車の購入には車両代の3倍かかるため、おいそれとは保有できないのですね。代わりに、東京や台湾などと同じように地下鉄やバスが整備されていて、移動に不便はありません。狭い国土に対して、緻密な計算により国家を運営しているのがうかがえます。

今回は以上で終了です。次号はシンガポールの歴史をお届けします。
ではまた次回お会いしましょう。