2016.02号 シンガポール編(3)

皆様こんにちは、株式会社コアブリッジの柳です。
今号はシンガポール編の最終回で、現地の様子をお伝えします。

現地の様子

赤道直下の高温多湿の国で、四季はありませんが、あえて言うならば4~9月の乾季と10~3月の雨期に分かれます。
乾期とは言ってもスコールはありますし、雨季でも一日中雨が降っているわけではありません。気温の変動はあまりなく、一年を通して25~35度くらいです。
治安が良くて清潔、ASEANの他国と比べると車の運転は穏やか(道路も広いですね)でバイクの数も少ないため、安心して街中を歩くことができます。
日本人にとって助かるのは、チップの習慣が基本的にないことです。マレーシアやミャンマーもチップは原則不要ですので、旧イギリス領の国に共通することなのでしょうかね。
人々は真面目でマナーが良く、日本にいるのとあまり変わらず過ごせます。

罰金都市”Fine City”

ゴミ捨ては罰金というのは有名ですね。汚い話で恐縮ですが、痰を吐くのにゴミ箱を探している人を見かけました。
全ての人が全ての場所でマナーを守っている、というわけではありませんが、所構わずモノを捨てる国が多いのとは対照的です。
まぁ、罰金制度が事細かに定められているというのもありますが。シンガポールは”Fine City”と呼ばれるほど罰則が多いのです(※”Fine”には「素晴らしい」の他に「罰金」の意味もあります)。
電車などの公共の乗り物内で飲食不可というのは他国でもよくありますが、チューインガムの販売や国外からの持ち込みが禁止されているというのは特徴的です。もっとも、荷物検査があるわけではないですけどね。

多民族国家

小さな国土ですが、中華街、インド人街、アラブ人街など、各民族の集まる街があり、商店や飲食店、寺院などがあります。
各民族街の中に入れば宗教の匂いを強く感じることはありますが、それ以外の場所では宗教を意識することはあまりありません。
シンガポールでの信仰について調べてみると、2010年時点での15歳以上の人口に占める信者の割合は、

  • 仏教:33.3%
  • キリスト教:18.3%
  • 無宗教:17.0%
  • イスラム教:14.7%
  • 道教:10.9%
  • ヒンズー教:5.1%

(数字は『CENSUS of population 2010(シンガポール国勢調査2010)』から引用。)
となっており、特定の宗教が図抜けて多いというわけではありません。これは、お隣マレーシア(イスラム教が6割)と大きく違うところです。
罰金制度の多さについて先ほど触れましたが、これも多民族国家運営における統制のためです。

中華街
リトルインディア
アラブストリート
それぞれに寺院や商店などがあり、独特な雰囲気があります。

シンガポールの食事

最後はいつも通り食事ネタで締めましょう。 主な3民族である、中華系、マレー系、インド系のそれぞれの料理がシンガポールの特徴的な食事です。他に、中華系移民とマレー人が結婚して生まれたその子孫の”プラナカン”も特有の文化を持っていて、その料理であるプラナカン料理(別名ニョニャ料理)というものがあります。これらの食事情は隣国マレーシアと一緒です。
高級レストランから屋台を集めたホーカーズやショッピングセンター内にあるフードコートまで、店舗の形態や値段も様々です。
魚の頭をカレーで煮込んだフィッシュヘッドカレー、チリソースでカニを炒めたチリクラブ、鶏肉のスープで炊いたチキンライス(海南鶏飯)、漢方スパイスで豚肉を煮込んだバクテー(肉骨茶)などが代表的な料理としてよく挙げられます。
同じバクテーでも、シンガポールのものはスープが白色で胡椒がきいた味、マレーシアのそれはスープが黒色でコクが強い味をしています。
また、朝食の定番に”カヤトースト”があります。”カヤ”と呼ばれる、ココナツミルクと卵黄などから作る甘いジャムをトーストの間に挟んだもので、半熟卵に浸けて食べます。
帰国する日の朝に試しに食べてみたところ、カヤジャム自体は非常に甘く、醤油をたらした半熟卵やバターの塩気と混じり合って、甘党の私にはなかなかいけます。
しかし、ものすごい量のバターがパンの間に挟まれていて、生真面目に全部平らげたものですから、その後胃もたれを起こしながら空港に向かったのを覚えています…

バクテー(肉骨茶):胡椒がきいたスープにホロホロになるまで煮込んだ豚バラ肉が入っています。もちろんイスラム教徒は食べません。
カヤトースト:炙ったパンの間には、たっぷりのカヤジャムとバターが挟まっています。醤油をたらした半熟卵をつけて食べます。

ASEAN随一の先進国としてアジアを牽引する小さな都市国家シンガポール。
地理的な位置や税制などの理由で多くの国から人、金、物が集まり、文字通り”ハブ”として機能し、進歩を続けています。
一方で、成長率の減速や与党による事実上の独裁政治など、短期間で急成長を遂げた若い国としての課題もあります。
建国50周年という節目を迎えた獅子の国が今後どのような奮迅をしていくのか注目していきましょう。

シンガポール編は今回でひとまず終了です。次号からはラオス編をお届けします。
ではまた次回お会いしましょう。