2016.08号 ラオス編(3)

皆様こんにちは、株式会社コアブリッジの柳です。
今号では現地の様子をお届けします。

首都ビエンチャンでもとてもこじんまりとしていて、高い建物がなく、人や交通量が比較的少ないのが特徴的です。
夜は18時にもなると、街灯が少ないため、暗くなります。街は、新興国にありがちな、ゴミが散乱して汚れているということはなくきれいです。
交通手段はあまり整備されておらず、地下鉄はもちろんのこと、タクシーも流しのものはありません(すぐ拾えるのはトゥクトゥクくらい)。
車の運転は比較的穏やかで、危険な感じがしないのは助かります。
とはいえ、朝晩は他国の首都同様、自動車の渋滞になります。
もっとも、他の国の首都と比べれば可愛いものですし、バイクの数はさほど多くはないです。
渋滞緩和策として2012年から幹線道路を走る都バスが運行されています。バス停以外でも乗り降りできる方式です。
日本から寄贈された車両が使われていて、バスターミナルに行くと日の丸マークの入ったバスが並んでいます。

ビエンチャンの街。ご覧の通り、高い建物がありません。
バスターミナル。左のバスは日本から寄贈されたもので、左下に日の丸が描かれているのが見えます。

街を走る自動車は、トヨタの他に、HYUNDAIやKIAなど韓国製が多いです。ラオスには韓国がだいぶ入り込んでいて、韓国語の看板や韓国人を多く見かけます。
OECD(経済協力開発機構)のデータによると、2014年のラオスに対するODA(政府開発援助)の金額は、G7全体で174M$(※M$は100万米ドル)、そのうち日本が6割以上の107M$と突出しています。
同年の韓国は29M$と、第2位のオーストラリアの53M$、第3位のドイツ32M$に次いで4位です。
OECDのデータにはありませんが、隣接するタイ、ベトナム、中国の影響は大きいものです。特にメコン川を隔てた隣国タイの影響は大きく、工業製品の多くはタイからのものです。
日本の存在感は正直あまりないのですが、総じて好意的に見られているようです。

ビエンチャンの街中の一角。
MK RESTAURANTSは外食店、TURE COFFEEはカフェ、どちらもタイのチェーン店で、タイの影響はこんな所にも見えます。
しかし電線の量のすごいこと…

ラオスの人は基本的に穏やかで親切です。何というか、とても素朴で、スレている人が少なく、静かに暮しているという印象です。もっとも、プライドが高いというのは他の国と共通しているので、礼儀を持って接するのが前提ですが。
ちなみに、ラオスでは基本的にチップの習慣がなく、この点は気が楽です。

インフラ状況

ラオスは水力発電による電力供給力が高く、隣国に電気を輸出しているほどです。
カンボジアやミャンマーなどが深刻な電力不足であるのと対照的で、安価で安定して電気が供給されるというのは大きな長所です。
ただ、気温が上がり水が少なくなる乾季には、逆に電気を輸入しています。
2015年時点の電話の普及率は、ITUの統計データによれば、固定電話は13.7%(お隣のタイは7.9%、日本は50.2%)、携帯電話は53.1%(タイは125.8%、日本は125.1%)です。携帯電話は高額商品のため、普及してきたのもここ数年です。
現地の人に聞くと、スマートフォンはAppleやSamsungが人気らしいですが、やはり高く、中国のHUAWEIやOPPO製をよく見かけます。
携帯電話の通信速度も、ムラはあるにせよ、3G通信で数MB程度出ていたので、通信環境はだいぶ整ってきている印象です。

ラオスの食事

主食は米ですが、餅米をよく食べます。手で取って食べるため、かなり固めの蒸し具合です。
ラオス料理はタイ北部(イーサーン地方)の料理と類似しています。ラオスの代表的な料理の一つに”ラープ”があります。
肉(鶏、豚、牛、アヒルや魚)を細かく刻んだものにミントの葉や野菜を混ぜて、ライムと魚醤で味付けしたものです。
餅米を片手で取って丸めて少しくぼみを作り、そこにラープを挟んで食べます。 他に、青パパイヤサラダの”タム・マークフン”(タイのソムタム)やローストチキンの”ピン・ガイ”(タイのガイ・ヤーン)などが定番です。
ルアンパバーンなどラオス北部では、辛味噌をのせた麺料理の”カオ・ソーイ”も有名です(タイのチェンマイのカオソーイはカレー味でそれとは違う料理です)。
フランスの植民地であったこともあり、ベトナムと同様、コーヒーも特産品です。深煎りの豆で濃い目に入れ、たっぷりの練乳を入れて飲みます。非常に甘いですが、これがなかなかイケます。

鶏肉のラープ。餅米にとても合います。
カオソーイ。ルアンパバーンなど北部でよく食べられます。ちょっと辛い、担々麺風きし麺。

日本人にはあまり馴染みのないラオス。国連から後発開発途上国に指定され、最貧国の一つと見なされています。
しかし、タイ次の海外生産拠点として”タイプラスワン”の一国にも挙げられ、先月に行われたASEAN外相会議では議長国を務め、我々の目に触れることも増えてきました。
昨年末に結成されたASEAN経済共同体AECの今後とともに注視していきましょう。

ラオス編は今回でひとまず終了です。次回からはマレーシア編をお届けします。
ではまた次号でお会いしましょう。