2014.07号 ベトナム編(2)

皆様こんにちは、株式会社コアブリッジの柳です。ベトナム編の続きをお届けします。前回は主にベトナムの歴史というお固い内容でしたが、今回は現地(ホーチミンシティ)事情をお伝えします。

ホーチミンシティの様子

とにかく車とバイクの数が多いこと!日本の通勤列車から乗客が出てくるかのように二輪と四輪が続々と連なります。信号の数が少なく、赤信号になると大量の車が一時期に止まるため、余計にその多さを感じます。街を歩くと道路を渡るのが大変で、車の切れ目を待っていると埒が明きません。”Slow in, fast out”なんてことを(日本の)自動車教習所の実技の時に何度も耳にしましたが、まさにそれです。ゆっくりと道に入って自分の存在を示し、車が速度を落としてくれたのを確認してからサッと渡ります。
道路や電気などインフラの整備状況は都市化度合いの目安としてよく挙げられますが、混みいった都心部では信号の設置による交通の制御も指標になるのではないかと最近感じています。この辺りは、今後のインドネシア編やタイ編でも触れる予定です。

バイク、バイク、バイク!
夜7時くらいの目抜き通りの交差点。日本製バイクが非常に多く見られます。

滞在時に注意すること

ベトナム渡航時に注意するようよく言われるのが、「ぼったくり」と「ひったくり」です。街中や人混みを歩く時にはスリやひったくりに十分注意する必要があります。スマートフォンはだいぶ普及していますが、iPhoneは高級品で、不用意にカメラを使っているとひったくりにあいやすいといいます。それを聞いていたので、撮影はあまりしなかったのですが、このコラムのために何枚かは写真が欲しいので、街中で足を止めてiPhoneで撮影をしました。すると、ポン引きのお兄さんが、適度に流暢な日本語で「アイフォンあぶないね」と親切に(!)声をかけてきてくれました…
また、両替や支払時には、規程料金以上請求されたり、おつりが足りなかったり、破損して使えない紙幣を渡されたりということがあるようで、とにかく金銭の受け取り時には注意を払っていました。
空港から市街地までのタクシーは、空港でタクシークーポンを買うと、多少割高ではありますが、トラブルを回避できます。クーポン購入時にも注意は必要ですけどね。インフレで物価上昇が激しいので、ガイドやネットで見聞きした金額よりも高額になっていると、ふっかけられているのか値上がりしたのか判断つかないのが困ったことです。値段を聞いた際に、「えっ、この間はxxxVNDだったけど?」なんてこちらもカマをかけたりしました。
ちなみに、タクシークーポン以外にタクシーチケットというものも併売されていて、タクシーチケットのほうは車種指定のチャーターとなり、より高価です。

タクシークーポン。普通に乗車するよりも割高ですが、運転手にぼったくられる心配はなくなります。

コンビニエンスストア事情

出張中は、ホテルに戻る前に、飲物や軽食等買物をよくします。ホーチミンシティにもコンビニはあるのですが、恥ずかしいことに店が見つからなくて、ちょっとあたふたしました。後で調べてみると、コンビニと言っても他の国で見慣れたものよりもずっと店構えが小さく、見過ごしたようです。幸い宿泊先から少し歩いた所に国営のスーパーマーケットがあり、買物に不自由はしませんでした。
日本のコンビニ各社も他の業種同様アジア展開を進めています。有名どころの店舗数について調べてみました。

全世界 日本 ベトナム タイ フィリピン インドネシア 中国 時期
SevenEleven 52,811 16,375 0 7,651 1,049 158 2,010 ‘14.03
FamilyMart 15,969 10,703 40 1,096 45 14 1,154 ‘14.05
Lawson 12,089 11,606 0 29 0 61 389 ‘14.02
MiniStop 4,592 2,197 17 0 0 7 47 ‘14.05
※数字はコンビニ各社のWebサイトのもので、表の「時期」時点の店舗数を記載。

意外なことにベトナムの店舗数は少ないのですね。ベトナムにはENT(Economic Needs Test)という制度があって、外資が現地で二店舗以上出す場合には認可が必要です。このプロセスがやっかいで、小売業のベトナム進出は障壁が高くなっています。ENTは、直営でなく現地企業へのフランチャイズ制にする、店舗面積を500平方メートル未満にする、などにより不要になりますが、進出が難しいのはこの制度のためだけではありません。ベトナム進出で先行していたファミリーマートでも、昨年に現地のパートナー企業がタイの企業に買収されて提携解消となり、また一から開店をやりなおしています。それでも上記の数字にまで盛り返しているのは非常に素晴らしいことですが、海外展開においてはどのようなパートナーと手を組めるかが大きな鍵になっていることは、国は変われど共通しています。

通信事情

固定電話よりも携帯電話の普及率のほうが圧倒的に高く、2013年時点では、固定電話普及率が10.1%に対し、携帯電話は130.9%となっています。(数字はITU統計データのもの)。
スマートフォンが普及し、喫茶店やレストランなどの多くでWi-Fiが使えます。プリペイドのSIMカードが売られているので、私もSIMロック解除した移動機に入れて使っていました。速度や安定性は日本と比べるのは酷かもしれませんが、地図やWebでのちょっとした調べものなど、十分使えます。なおSIMカードは15万VND(およそ750円)でした(すみません、有効期限や通信上限は失念しました)。
Facebookなどは政府の検閲や規制が入るとのこと。中国ほどの厳しさではないようですが、社会主義国のため、なにがしかの規制や統制はあるのですね。

フランスに本部のある”国境なき記者団(Reporters Without Borders)”という団体は、毎年「報道の自由度」ランキングを発表しています。
2014年度版の発表を見てみますと、ベトナムは180カ国中174位と、かなり下に位置します。同じ社会主義国の中国は175位です。なお、他のASEAN諸国は、タイが130位、インドネシアが132位、マレーシアが147位、フィリピンが149位、シンガポールが150位です。東アジアは、韓国が57位、日本は59位、香港が61位です。

余談ですが、年末にホーチミンシティを訪れた時のこと、大きな百貨店は店舗前にクリスマス用の華やかなデコレーションを飾っています。カップルも親子も友だち連れも皆そのデコレーションを背景に携帯電話のカメラで写真を撮っています。ものすごい人だかりで、正直ちょっと唖然としましたが、とても楽しそうでした。

クリスマス時期の百貨店前。クリスマス用オブジェの前で撮影大会!実際の人だかりは写真以上です。

次回でベトナム編は終了の予定です。

※本文中の数値やURL等は執筆当時のものです