2015.03号 タイ編(1)

皆様こんにちは、株式会社コアブリッジの柳です。
今号からタイ編をお届けします。
タイは”微笑みの国”と呼ばれ、温暖な気候とおおらかな国民気質で知られますが、ASEAN諸国の中で欧米列強による植民地支配を免れ独立を維持した唯一の国です。

タイの基本情報

タイ王国(Kingdom of Thailand)はインドシナ半島の中心部に位置する、国土が日本の約1.4倍の国です。 首都はバンコク(Bangkok)ですが、これは通称で、正式には”クルンテープ・マハーナコーン・アモーンラッタナコーシン・マヒンタラーユッタヤー・マハーディロックポップ・ノッパラット・ラーチャタニーブリーロム・ウドムラーチャニウェートマハーサターン・アモーンピマーン・アワターンサティット・サッカタッティヤウィサヌカムプラシット”という、まるで落語の”寿限無”のような非常に長い名前です。タイ人は略して”クルンテープ(天使の都)”と呼びます。

人口は、IMFによると、2013年時点で6,823万人、国民の大半がタイ族で、9割以上が仏教徒(※上座部仏教。小乗仏教とも呼ばれるが上座部仏教の蔑称。日本で多いのは大乗仏教で、宗派としては異なる)です。

言語はタイ語で、文法は単純なものの声調があり、日本人にはとっつきやすくも発音が難しい言語と言えます。独特の形状を持つタイ文字は表音文字で、子音と母音を組み合わせて表記します。普段あまり使われない子音や例外規則もあるので、全てを修得するのは結構大変です。

アユタヤ-バンコク間を往復する乗り合いバスの看板。
上の行には、タイ文字で「アユタヤ-クルンテープ」と書かれています。

首都バンコクはアジアを代表する国際都市で、外国人に慣れているので、主要な所では英語が結構通じます。

通貨はバーツ(THB)で、この原稿を執筆している時点でのレートは、1タイバーツがおよそ3.7円です。
物価は感覚的に日本の三分の一から二分の一くらいです。人件費は安いのですが、物品はさほど安くはありません。

常夏の国で、季節は大きく暑気(2月〜5月)、雨期(5月〜10月)、乾期(10月〜2月)の3つに分けることができます。暑季には40度に達することもありますが、意外にカラッとしています。4月に行われる水かけ祭り”ソンクラーン”は有名ですね。また、雨期と言っても随時雨が降っているわけではなく、ものすごいスコールが短時間降ってはあがる、というようなもので、雨後は気温が下がって過ごしやすくなります。

現在のタイは、ご承知の通り、クーデター後の軍事政権下にあり、日本の外務省からも「渡航にあたっては十分注意してください」という通達が継続されています。が、現地の人の話では、むしろ治安は良くなり、ぼったくりなどの不正も減り、以前よりも安心して暮らせるようになったと聞きます。実際に現地に赴いてみても、至る所で軍による見回りや取り締まりがありはしますが、いたって平穏です。

入出国

日本とバンコク間の直通便は、一部を除いて、2006年に開港したスワンナプーム国際空港に発着します。LCCやタイ国内線用にはそれ以前からあるドンムアン空港が使われます。
30日以内の滞在であればビザは不要です。
入国時には到着カード(出国カードと対になっている)に記入しイミグレーションを通るのみです。軍政になってから到着カードの記載チェック(特にタイでの滞在先)が厳しくなりました。
出国時は、荷物の検査を受けた後、イミグレーションでパスポートと出国カードを提示すれば手続き完了です。空港利用料や出国税などはありません。

スワンナプーム空港のバッゲージクレーム。仏教国なのになぜか13番レーンがありません…
ドンムアン空港。右上の壁に掲げられている2つのパネルはプミポン国王の写真。国中いたるところに国王のパネルが設置されています。

毎度おなじみの、入国直後にすることとして、「両替」「携帯電話のSIMカード購入」「市街地への移動手段確保」について記しましょう。
両替所は空港内の到着フロアと地下一階にあります。街中よりもレートが悪いので最小限だけ両替するのは他の国と同様です。

携帯電話のSIMカードも到着フロアで入手できます。三大通信事業社のAIS、True、DTACが販売カウンターを出しています。しょっちゅうプロモーションをやっているのでプランは色々ありますが、一例として、30日間最大1GBの通信量(1GBを超えると速度制限)で300THB(およそ1,100円)というものがあります。通信品質は、ムラがある時はあるにせよ、結構良いので、快適に使用することができます。

スワンナプーム空港から市街地に出る手段としては、タクシー、電車、バスがあります。他国のように空港出口を出た所でものすごい数のタクシーの客引きにあうということがないというのは楽です。
タクシー乗り場は、一階出口を出た所にあります。少し前まではそこで係員に行き先を伝えてタクシーを手配してもらっていましたが、最近システム化されて、自動発券機の画面をタッチすると番号と運転手の名前などが書かれた紙が出てきて、該当番号の乗り場に行ってタクシーに乗る、という仕組みに変わりました。

スワンナプーム空港一階のタクシー乗り場。システム化され、自動発券機によりタクシーを手配します。
タクシーの客引きは入ってこられないので、入国直後の煩わしさがありません。

真面目にメーターを使ってくれる運転手、値段交渉してくるドライバー、どちらもいますが、軍政になってから取り締まりが厳しくなり、だいぶドライバーのマナーは良くなったようです。料金は、おおよそ400THB(約1,500円)くらいです(高速代75THB、タクシーの空港利用料50THB込み)。所要時間は高速道路経由で30分くらいですが、なにせ渋滞が有名な都市ですから、1時間以上かかることもざらです。
マナーの悪いドライバーや渋滞を避けたい場合には、空港地下一階から出ているAirportRailLinkという電車が便利です。バンコク市内を走る他の電車(BTSやMRT)への乗換駅まで30分弱くらいで出られ、料金もMRT乗換駅まで35THB(約130円)、BTS乗換駅まで45THB(約170円)と安価です。

交通事情

前述の通り、タクシー、電車(高架鉄道BTSと地下鉄MRT)、バスが整備され、ひどい渋滞はあるものの、移動手段は整っています。他にも、オートバイタクシー(モーターサイ)や乗り合いバス(ロットゥ)、乗り合いトラック(ソンテオ)、トゥクトゥク(三輪自動車)があり、行き先や用途に応じて、気軽に、あるいは安価に移動することができます。
「金持ちは車に乗り、小金持は電車に乗り、庶民はバスに乗る」などと言う人もいますね。
また、タイの中心部には大きなチャオプラヤ川が流れており、そこを走る船も生活や観光の”脚”になっています。
なお、地下鉄MRTは日本の円借款で開発され、各駅にその謝意を表すプレートが掲げられています。

交通の要所”戦勝記念塔”。左下の白い車は乗り合いバス(ロットゥー)、ピンクと黄色の車両がタクシー。
地下鉄MRTの構内に掲げられている日本への謝意のプレート。

今回は以上で終了です。では次号でまたお会いしましょう。