2017.07号 ブルネイ編(3)

皆様こんにちは、株式会社コアブリッジの柳です。
ブルネイ編最後の今号では、首都バンダル・スリ・ブガワンの様子についてお届けします。

街の様子

人が少なく、街が空いています。治安は良く、安心して街を歩くことができます(もちろん、気を抜かず、気をつけていることが前提です)。前々回にも書きましたが、歩行者のために車が止まってくれるので、他の国のような危険を感じることがありません。もっとも、車社会で、歩いている人など旅行者くらいなのですが。

イスラム教国ならでは

ブルネイ編(1)で書いたように、お酒はありません(税関で申告すれば持ち込みは可能)。ホテルには、メッカの方向を示す矢印”キブラ(KIBLAT)”がシールで貼られています。私が宿泊したホテルのひとつには、天井にキブラがなかったので探したところ、クローゼットの引き出しの中に貼ってあり、一緒にお祈り用のマットとお祈りの時間表が収納されていました。もちろんコーランも置かれています。
夕方、日没とともにモスクからコーランが流れてくるので、「イスラム教の国に来たな」というのを実感します。
ASEAN10カ国では、フィリピンのキリスト教を除けば、多くの人は仏教かイスラム教を信仰しています。各国に赴き、その国で信仰されている宗教が生活の(というか人生の)一部になっているのを見ると、不思議とその必要性や良さを感じます。これは、日本にいる時にはついぞ覚えたことのない感覚です。

オールド・モスク。日没後にコーランが流れる中ライトアップされた姿には、何とも言えない風情があります。
新興の商業地区に建てられたニュー・モスク。ブルネイ最大規模で、5千人を収容可能。

法律により、金曜日の12:00-14:00は集団礼拝の時間と定められており、店舗やオフィスは一時閉館となります(ホテルは営業しています。併設レストランは閉まります)。食事や所要は早めに済ませておく必要があります。
人に物を渡す時には右手を使い、何かを指す時には人差し指ではなく(右手の)親指を使います。マレーシアでも同じなのですが、クアラルンプールにいた時にはあまり意識したことはなく、ブルネイの時のほうがそれを強く感じました。

インフラ状況

電気は、電力不足などの心配はありません。
ブルネイの水道水は飲めると言われていますが、実際には、ホテルでバスタブに湯を溜めた時には黄色く濁っていたので、飲用にはミネラルウォーターをお勧めします。

交通事情

先述のように車社会で、道路はきちんと整備されています。トヨタ、スズキ、ホンダ、日産などの日本車が多いですが、KIAやフォルクス・ワーゲンも見かけます。
公共の乗り物としては路線バスがあります(流しのタクシーは、あるにはあるらしいのですが、無いに等しい)。バンダル・スリ・ブガワン中心部にバスターミナル(現地の人は”バンダー”と呼んでいます)があり、6方向に運行しています。料金は一律1B$(約80円)の前払い制で、乗車したら車掌さん(女性が多かった)か、ワンマンバスの場合には運転手に支払い、チケットをもらいます。行き先を伝えておけば、停留所が近づいたら教えてくれるので、利用しやすいです。

バスターミナル。現地の人は”バンダー”と呼んでいます。
バスには大きく数字が書かれているので、どこ行きのバスか一目でわかります。

ある時、バスに乗り込み、運転手にお金を支払い、目的地を伝えました。気のいい運転手からは「わかった!」という明るい返答。しかし、行けども行けども案内がありません。運転手に聞いたら「しまった、忘れてた!」と平謝り。時間に余裕があったので、結局終点(マレーシアとの国境!街が小さいとこういう時は助かる)まで行って、そのまま引き返してきました。もちろん、復路ではちゃんと案内してもらって無事目的地に着きました。
なお、水上集落”カンポン・アイール”では水上タクシー(要するにボートのタクシーです)があります。

通信事情

電話の普及率は、2016年時点で、固定電話は17.11%、携帯電話は120.67%です(数字はITU(国際電気通信連合)の統計データから引用)。SIMカード販売所の店員さんに聞くと、スマートフォンは、サムスン、アップル、ファーウェイ製に人気があるとのこと。4Gの通信も十分な速度が出ており不自由はありません。

食事

いつものように最後は食事で締めくくりましょう。
ブルネイ料理はマレーシア料理と大体同じです。米や麺を主食に、魚、肉(もちろん豚肉を除く)などの料理があります。
ブルネイ固有の料理として”アンブヤット”があります。サゴヤシから採れるデンプンを熱湯で溶いたものを、Y字型の竹製の箸で巻き取り、酸味のあるソースに付けて食べます。サゴヤシ自体には味がなく、ソースで味が決まります。ソースには色々な種類があり、店によっては選べます。

ブルネイの郷土料理(右下の魚料理は後から出てきたので合成しました)。左上がアンブヤットで、右側の揚げ魚の上にあるのがソース。他は、左から、牛肉の煮込みと生野菜と青菜の炒め物。
マレーシア料理でおなじみのナシ・ゴレン。

レストランで食事をしていた時のこと、会計を済ませて店を出て行こうとしていた一団が、明らかに外国人と分かる私に気軽に声をかけてきてくれました。「アンブヤットはそのソースを付けて食べるんだよ。味がないからね!」と教えてくれました。私は、サゴヤシをスプーンですくってお米の代わりにし、他の料理と一緒に食べていて、ソースは「何だ、この料理は?」と不思議に思っていたのです。
幸いなことに、Y字型の箸を二つに割ってそれで焼き魚を食べていたのは気づかれなかったようです…

“永遠に平和な国”という意味のブルネイ・ダルサラーム国。資源に恵まれ、裕福で、人々はゆったりと暮らしています。我々には馴染みが薄いですが、この素敵なイスラム国は、日本でももっと知られて、人の行き来が増えてもいいはずです。

 
ブルネイ編は以上で終了です。次号からカンボジア編に移ります。
ではまた次号でお会いしましょう。

※本文中の数値やURL等は執筆当時のものです