2014.05号 はじめに

はじめまして、株式会社コアブリッジの柳と申します。気楽に読める海外情報をお届けしたいこと、ただ単に私が書きたいため(!)、などいくつかの動機から、このコラムを設けました。肩肘張らずにお読みいただければ幸いです。

本コラムでは、ASEAN諸国を中心に、各国の基本情報に触れてまいります。その際には、各種データ等の提示に加え、実際に私がその国を訪問した際に見聞きし感じたことをお伝えしていきます。

ASEAN(東南アジア諸国連合)は、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオスの10カ国で構成されます(※1)。ちなみに『東アジア』というと、韓国、北朝鮮、台湾、中国、日本、香港、マカオ、モンゴルの国々が含まれます(※1)。
今後、順に以下の国々についての執筆を予定しております。

(1)はじめに   ← 今回
(2)ベトナム編
(3)インドネシア編
(4)フィリピン編
(5)タイ編
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さて、このコラムの内容検討時に、あらためて「何について触れるか」について考えてみました。訪問時のエピソードはさておき、各国の基本情報について語るとなると、首都、面積、人口、言語、宗教、産業、経済指標、などなどを列挙してえらそーに講釈をたれる、なんていうことが頭に浮かびましたが、とてもそのようなガラではございません… また、基本的な数字ならばちょっと探せばすぐに見つかるので、あらためて並べられても面白味がありませんね。もちろん、必要なデータとして言及すべきものはありますし、いざ調べるのも面倒なのでどこかにまとまっていると楽、ということはありますが。今回の趣旨として、それらの情報を基にしつつなるべく現地の状況をお伝えすることに置き、具体的には、日本と比較すると具体的にどうで、これから現地に行く時あるいは実際に現地に行った時にどのようなことに留意するか、について書いていく事にしました。

例えば、

  • 言語:現地語以外の言語(英語、日本語)がどのくらい通じるか
  • 金銭:通貨、物価、税制
  • 交通:交通網の整備状況、渋滞、電車/バス/タクシーの普及度や料金
  • 通信:有線/無線LANや携帯電話の普及と実用度、SNSの利用状況
  • 安全:治安、親日度
  • 生活:気候、食事

といったことです。
これらに加えて、おおまかな歴史についても触れる予定です。

以前、1〜2ヶ月間の海外インターンに出る大学生/大学院生向けの事前研修の仕事をしたことがあります。該当国初入国あるいは初の海外という人が大半で、皆不安で一杯です。自由質問の時間には、矢継ぎ早に色々な質問が出ました。こちらの知っている範囲ですが、少しでも不安を取り除こう、この機会に是非こんなことを体感してきて欲しい、ということを回答とともにその場でできるだけお話ししました。コラムの形式上方方向ではありますが、それに似たような事がこの場でできれば大変嬉しく思います。

ASEAN諸国を取り上げると申しましたが、あわせて忘れてならないのが、『日本はどうか』ということです。海外の人と話していると、「日本ではどうなの?」「なぜ日本ではそうなの?」という質問を非常に多く受けます。自国のことは意外と知らなかったり、空気のように当たり前に感じている事をいきなり聞かれて説明するのは結構難しいものです。詳しくはなくても、その場でまがりなりにも答えたい、と常々痛感します。まぁ、知ってはいても外国語で伝えるのが難しいという事情がありはするのですけどね。「日本と比較して各国について考える」と先述しましたが、各国と対比する事により、日本についてあらためて知る機会になれば一石二鳥、という狙いもあります。

余談ですが、先日イタリア人の友人と夕食を取っている時に、
「Ken(※私のことです)、教えてくれ。どうして日本の女性のお笑い芸人はブサイクな人ばかりなんだ?見栄えがいいほうがいいじゃないか!」
と言われました(※当該芸人の名誉のために抽象的かつかなり控えめに和訳しています…)。う〜ん、さすがイタリー男!
「美形は飽きられやすくてブサイクが残ってるんだよ」とか「ボケとツッコミという役割分担があってだねぇ…」とか思いつくままに答えましたが「いや、それは分かってるんだよ」と言われ結局消化不良の問答になってしまいました。お笑い業界のこと、よく知らんしな… あれやこれやで最後は「日本のお笑いは非常に面白い!」という同意に至りその場は収まり、日伊の友好関係は無事保たれました。
同席していた彼のガールフレンド(※日本語堪能で、テレビを見ながら彼にお笑いの内容を要約して伝えるそうです。すごい!)は、「日本のお笑いはストーリー性があってよく考えられている」とか「下ネタや悪口以外のネタが多いのが良い」と言っていました。普段意識したことがなかったため、目から鱗です。お笑いも漫画やアニメーションに並ぶ特徴的文化になりうるのかもしれませんね。
「それならば落語はどう?」とも言いかけましたが、江戸時代のことを知らないと分かりにくいですからねぇ、う〜ん、やっぱり歴史の知識って大事ですね。
なお、
「ツッコミ役がボケ役に突っ込む際に頭を殴るのは良くない!よく我慢しているな」
とも。この辺の感じ方の差異も面白いですね。

少々脱線しましたが、初回は本コラムの趣旨と今後の予定という内容でお届けしました。次回からいよいよ各国の情報をお伝えしてまいります。是非ともお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

※本文中の数値やURL等は執筆当時のものです