2016.11号 タイ番外編

皆様こんにちは、株式会社コアブリッジの柳です。
今号はタイ番外編です。
※ブログと内容が被りますがご容赦ください

先月10月13日に、タイのプーミポン国王(※”前国王”と書くべきかもしれませんが、新国王の即位がまだということもあり、あえて”国王”と記します)がご逝去されました。
日本でも多くの報道がなされ、タイ国中が深い悲しみの中にあったことはご承知のことでしょう。
プーミポン国王は、我々日本人からは想像が難しいくらい国民から敬愛されていて、それだけに同国を訪れる際には気を遣うし、実際にそうすべきです。
タイでは、公務員は一年間喪に服し、国民も一ヶ月間は娯楽性の高い活動を控えよ、というお達しが出ています。
黒い服を着ていない人(タイ人)が「不敬だ」と暴行される事件が起きたり、日本人がゴルフ後の打ち上げで度を越して騒いだために軍に連行されて厳重注意を受けた、などという事案も起きており、同国を訪れる機会がある人には普段と異なる状況に戸惑うこともあると思います。
ちょうど国王崩御の一週間後と一月後にタイ渡航の機会があったため、実際にどのような様子であったかご紹介します。これから渡航する方の参考になれば幸いです。

街の様子

直後は、駅や商業施設の看板(電光掲示板)は宣伝をやめ、国王への弔意を示す白黒の表示に変わっていました。
Webサイト、テレビ番組、ATMなどの機械の画面、電車内の液晶モニタ、電気店に展示されているPCのスクリーンセーバーなども同様です。
飲食店や娯楽施設でも音楽は自粛するか音量を抑えていました。
建物には弔意を表す白と黒の横断幕が掲げられ、デパートやオフィスビル、宿泊施設などには国王の肖像画と献花台、記帳台が付設されています。
電車の中など公の場での会話は声を抑え気味にしています。そんな中ではっきりと聞こえてきたのが日本語だった時にはかなりがっかりな思いをしました…
一ヶ月経った今では広告も再開され、店舗などでも音楽も流れていますが、音声はやはり控えめです。
これも、さらに時間が経てば、段々と元の状態に戻っていくでしょう。国民には生活がありますし、タイ人はたくましい(!)ですから。

駅ビルの前。白黒の横断幕と献花台が設置されています。人々の服装も黒一色。
ビルの電光掲示板。宣伝は取りやめ、在りし日の国王の映像が白黒で流れています。

服装

「国民が皆黒い服を着ている」と聞くと、渡航時に持参する着替えに悩みますね。
王宮の弔問者に対する注意書きに
「派手な衣服を避け、敬意を持った(respectfully)服装にし、黒いリボン(※後述)の着用を推奨する」
とあるので参考になりますが、基本的に黒か、黒でない場合には白などのおとなしい色のものにして”黒いリボン”を胸か上腕部につけるとよいです。
一時は品切れ続出だった黒い衣服も今はだいぶ出回っているので、持ち合わせが無くても現地で買うのもよいでしょう。
もっとも、直後は報道の通り上下黒の服装の人が大多数だったのですが、一ヶ月経つと、黒以外の服装がだいぶ増えてきているので、過度に神経質にならなくてもよいでしょう。
“黒いリボン”とは、20cm長くらいの黒いリボンをα(アルファ)字状に交差させて安全ピンで留めたものです。
先述の、黒い衣服を着ていない人に対する暴行事件が起きたことも一因でしょうが、そうそう黒い服ばかりとはいかないし、黒服を買えない人への考慮も必要なため、タイ政府が「黒服の代わりに黒いリボンの着用で構わない」というお達しを出し、一時期はあちこちで無料で配られていました。
一ヶ月も経つと色々な形状のリボンあるいはそれに代わるものが出回り始め、リボンの交差部分にワンポイント入れたものや、女性用の髪飾りにしたもの、黒い喪服を着ている時用に交差リボンの形状をした白や銀色のブローチ、黒いリボンのイラストが描かれたバッチなど、色々なものを見かけます。
黒い服も様々なデザインのものが出回っていて、特に若い女性向けのものは喪服というより新しいファッションになっているかのようです。
販売しているのは黒服が大半なのですから当然といえば当然なのでしょう。

黒いリボン。胸や上腕部につけている人が多かった。左は王宮付近で、右はビルの受付で配布されていたもの。
百貨店の衣料品売り場。置かれている服の半分以上が黒。喪服もデザインや展示の仕方により雰囲気が変わるものですね。

王宮

王宮には弔問に来る人々が引きも切りません。国中からものすごい数の人が駆けつけるので、交通整理、セキュリティチェック(X線や荷物チェック)、水や食事の無料提供、医療班待機、暑さ対策グッズ(うちわ、気付け薬、汗拭きタオル等)配布など、国やボランティアにより様々な考慮がなされています。
王宮はバンコクの中心部からは少し行きにくい所にあり(近くに電車の駅はない)、バスや船あるいはタクシーを使うことになりますが、今は無料バスも出ています。また王宮からは近くの目的地まで無料で送るバイクやトゥクトゥクも出ています。
もし王宮に行かれる場合には、日本人がバスに乗るのは何かと大変なので、チャオプラヤエクスプレスという船を使うと比較的楽に往復できます。
BTSのサパーンタークシン(Saphan Taksin)駅を下車し、出口左方向にサトーン桟橋(Sathorn Pier)があるので、そこから船に乗りターチャーン桟橋(Tha Chang)で降りるとすぐ先が王宮です。

王宮に入る人々の長蛇の列。
交通整理されていて、これが断続的に延々続いています。

日本でも昭和天皇崩御の時には予想以上に自粛が続き、経済や生活に影響がありました。
タイ国民にとって、今回敬愛してやまない国王が亡くなった事は、その時以上の衝撃と言えるかもしれません。
我々にとっては一時の出来事にすぎなくても、タイでは一年間服喪が続きます。引き続き理解と思いやりを持って接していきましょう。

今回は以上で終了です。
ではまた次号でお会いしましょう。