2017.01号 ブルネイ編(1)

皆様こんにちは、株式会社コアブリッジの柳です。
今号からブルネイ編に移ります。
日本ではあまり知られていない国かもしれませんが、天然資源に恵まれた裕福なイスラム教国で、石油や天然ガスの多くは日本に輸出されています。

ブルネイ概要

ブルネイは、正式名称がブルネイ・ダルサラーム国(Brunei Darussalam)、ボルネオ島の北西部の海岸沿いにある、国土面積が日本の三重県と同じくらいの小さな国です。
ボルネオ島と言ってもピンとこないかもしれませんが、マレー半島の東、南シナ海を渡ったところにある、マレーシアの一部、インドネシアの一部、ブルネイが共存している島です。
日本では”ブルネイ”と呼びますが、実際には”ブルナイ”と発音します。
首都はバンダル・スリ・ブガワン(Bandar Seri Begawan)です。

首都バンダル・スリ・ブガワンの街並。
こじんまりしていて静かです。人が少なく混雑していません。

立憲君主制を敷いていますが、国王(スルタン)が圧倒的な権限を持っており、実際に現ハジ・ハサナル・ボルキア国王は、首相と国防相と蔵相と外務貿易相を兼ねています。
人口はおよそ41万人で、マレー系が66%、中国系が10%(残りはその他)居住します(数字は Borneo Bulletin Yearbook:The Guide to Brunei Darussalam 2016 による)。
公用語はマレー語(マレーシア語)ですが、広く英語も使われます。と言っても、私が滞在中には、英語を話さずマレー語のみという市民は少なからずいました。
イスラム教を国教としており、国民の80%近くが信仰しています。このため、ブルネイ国内では酒類は販売されていません(申告すれば持ち込みは可能)。
通貨はブルネイ・ドル(BNDと表記)で、ドル紙幣と補助通貨セントの硬貨があります。ブルネイ-シンガポール間の条約によりブルネイ・ドルはシンガポール・ドルと等価と決められており、ブルネイではシンガポールドル紙幣がそのまま使えます(硬貨はダメ)。為替レートはこの原稿執筆時点で大体1BND=80円です。
物価は、モノによって異なりますが、感覚的に日本の半分くらいでしょうか。チップの習慣は基本的にありません。
日本との時差は1時間(日本が進んでいる)で、シンガポールと同じ時間帯です。
赤道に近く、一年を通して平均気温が30度を超える高温多雨の気候で、明確な季節はないものの、9月〜1月は雨が多くなります。12月が最も雨が多いのですが、現地の人に聞くと、夜の間だけ雨が降るとのこと。実際に私も12月に現地にいたことがあるのですが、昼間は快晴(暑い!)で、夜の間に雷とともに雨が降り、朝にはやんでいて地面が濡れている、という天候でした。
ブルネイは石油や天然ガスの資源国で、石油産業がGDPの半分以上、輸出の9割を占めます。非常に裕福な国で、国民一人あたりのGDPは米ドル換算で下表の通り、シンガポールにはおよばないものの、日本と同程度か上回る年もあります。

国民一人あたりのGDP(米ドル換算)
2013年 2014年 2015年
日本 40,601 38,241 34,629
ブルネイ 43,971 41,022 30,553
シンガポール 55,557 55,635 52,239
ASEAN平均 12,167 11,821 10,299

※数値は国連統計部の統計データから引用

所得税がなく、健康保険は無料、公立の学校も無料、大学に行くには国内外を問わず政府が奨学金や教育ローンを提供しています。
裕福なためにゆとりがあるのでしょうか、人々は穏やかで、治安は良く、安心して過ごすことができます。
個人所得が高く、公共の交通機関があまりないため、各所帯に車があり、自動車社会なのですが、道路を渡ろうとすると歩行者のために車が止まってくれます!

ブルネイの入出国

日本からはブルネイへの直行便がないため、マレーシア、シンガポール、タイなどを経由して行きます。ブルネイ国際空港は2階建てのこじんまりした建物で、すぐとなりにモスクが併設されており、「イスラム教の国に来た」ということを実感します。
ちなみに、ロイヤル・ブルネイ航空の便では、ムスリム(イスラム教徒)向けの配慮で、出発時にコーランが流れ、飛行中はモニターにメッカの方向を示す映像が表示されます。
日本国籍の人は、14日以内の滞在であればビザは不要です。
入国審査は、イミグレーションでパスポートと機内で配布される入国カードに記入したものを提示するのみです。税関申告書も書きますが、特に申告するものがなければ出口付近で係員に渡すだけです。なお、先述のように、酒類を持ち込む場合には申告が必要です。
出国税は航空券の料金に含まれており、チェックインカウンターでの支払いは不要です。
先述のように日本への直航便がないため、チェックイン時に経由国から日本への便のチケット等の提示を求められます。

ブルネイ航空の便ではメッカの方向を示す矢印がモニタに表示されます。
空港のすぐ隣にモスクがあります。強烈な陽射しに照らされて陶器のように美しく輝いています。
ブルネイ国際空港。二階建ての小さな空港です。
左の写真の手前側にモスクがあり、右の写真のガラスの奥にそのモスクが写っています。

入国後の3タスク

毎度おなじみの「両替」「SIMカード入手」「移動手段確保」です。
両替は、空港2階にある銀行の両替ブースで行うか、ATMが並んでいるのでクレジットカードによる外貨キャッシングでブルネイ・ドルを入手できます。
携帯電話(スマートフォン)のSIMカードは空港1階に2つの通信事業者の店舗があり、そこで入手できます。
30BND(約2,400円)でSIMカード、さらに10BNDで1GB分(15日間)の通信量を購入しました。他国に比べると少し高めですね。
空港から市街地に向かうには、タクシー、バスが使えます。バスはいつ来るか分からないので、実際的にはタクシーでしょう(送迎をやっているホテルならば、それを頼むのが最良です)。
空港の出口を出てすぐのところにタクシーカウンターがあるので、そこでタクシーを手配します。30BND(運賃25BND+空港税5BND)の定額制と聞いていたのですが、今はメータータクシーも出回っていて、私が使った時にはホテルまでメーターで31.25BNDでした。だいたい30〜35BND(2,500円くらい)と思っておけばよいでしょう。
おおよそ15分くらいでバンダルスリブガワンの市街地に到着します。

空港出口付近にあるタクシーカウンター。定額制かと思いきやメータータクシーに案内されました。

※金額は執筆時点のもの。価格変更がありえますので必ず最新情報をご確認ください

今回は以上で終了です。次回はブルネイの歴史をお届けします。
ではまた次号でお会いしましょう。