2016.10.27 国王逝去後のタイ国の様子(1)

タイ全国民から絶大な信頼と尊敬を集めていたプーミポン・アドゥラヤデー国王が今月10月13日に逝去されました。
日本でも多くの報道がなされ、タイ国中が深い悲しみに沈んでいることはご承知のことでしょう。
我々日本人からは想像が難しいくらい国民から敬愛されていて、それだけに同国を訪れる際に気を遣うし、実際にそうすべきです。
ちょうどその一週間後にタイ渡航の機会があったため、実際にどのような様子であったかご紹介します。
タイでは一年間服喪の期間となるため、これから渡航する方の参考になれば幸いです。

「国民が皆黒い服を着ている」「メディアを問わず画面がモノクロ表示になっている」などはニュースで伝わってきていますが、まさにその通りです。
電光掲示板などの”デジタルサイネージ”は首都バンコクで非常に多く使われていますが、その表示や、Webサイト、テレビ番組が白黒になっているほか、お金を引き出すATMやプリペイド式携帯電話のトップアップ(料金チャージ)用の機械の画面、電車の車両の中の液晶モニタ、電気店に展示されているPCのスクリーンセーバーなども、国王への哀悼の意を表す白黒の画像に置き換わっています。
元々国王の肖像画が国のあちこちに飾られているお国柄ですが、徹底しています。
宣伝広告のための音楽は消され、非常に静かで、国民も公の場で話をするときには声を抑えて会話をしています。
電車に乗っていて目立って聞こえたのが日本語だった時には、ちょっと恥ずかしくなりました…

ただ、1週間も経つと、飲食店などでも音楽が流れ始めていて、直後と比べるとだいぶ緩和されてきています。
国民にも普段の生活がありますからね。
建物には弔意を表す白と黒の横断幕が掲げられ、デパートやオフィスビル、宿泊施設などには国王の肖像画と献花台、記帳台が付設されています。
街行く人の多くは上下とも黒い衣服を着用し、そうでない人でも上は白系のおとなしいものにするなどし、普段よく着られているパステル系の色の衣服はほとんど見ません。
国中で黒い衣服を着るため、衣料店を覗くと黒系の衣服が大半を占めています。
一時は品切れだった黒い衣服も今はだいぶ出回っているので、持ち合わせが無くても現地で買うこともできます。

さすがに毎日着る衣服が黒ばかりというわけにもいかず、”黒いリボン”を身につければ弔意を表すものとする、というお達しが出て、無料で配られていたりします。
黒い服を着ていない人に「不敬だ」といって暴行事件が起きたことも一因でしょう。
タイに出張される方で黒以外の衣服を着るときには、写真のような黒いリボンを胸あるいは腕に着けるとよいです。

黒いリボン。左は王宮付近で配っていたもの。右は商業ビルの受付で配布されていたもの。
大きさ(縦の長さ)は、右のもので10cmくらい。
胸や上腕部に付けている人が多かった。