2015.08号 タイ編(4)

皆様こんにちは、株式会社コアブリッジの柳です。
タイ編最終回の今号では、現地(首都バンコク)の様子を中心にお伝えします。

街の様子

バンコクはアジアを代表する大都市で、物資、電気、通信、交通など、インフラの面で不自由することはまずありません。もっとも、タイの中でもバンコクの発展は別格で、人口は828万人(出典:日本貿易振興機構「バンコクスタイル」)とタイの全人口の12%を占めており、周辺も含めたバンコク都市圏にいたっては1,500万人(※出典:「Demographia World Urban Areas 11th Annual Edition:2015:01」)で22%を占めます。よくタイ第二の都市と呼ばれるチェンマイでも、バンコクと比べるとだいぶおとなしく感じます。
親日の国で、特に昨今では日本食の人気が高く、ショッピングコンプレックスのレストランフロアの大半が日本食店ということもざらにあります。
治安は比較的良く、不安なく外を歩けますが、日本人を狙った変な輩はどこにもいるので、当然のことながら十分注意を払う必要はあります。
以前夕食に出かけた時のこと、一人の女性(実はオカマらしい…)が英語で声をかけてきて、
「パタヤから移動してきた時に盗難に遭って困っている。実家からお金を送金してもらうことにした。あなたの口座に一時送金するからクレジットカードで引き出してほしい(※かなり要約しています)」
と、時折実家と電話をしているフリをしながら懇願してきます。適当にあしらって被害に遭うことはありませんでしたが、この手口、外務省の「海外安全ホームページ」に載っているのですよね。事前に安全情報を確認して手口を知っておくと安心です。

タイならでは

敬虔な仏教徒の国で、いたるところに仏壇があり、通りすがりに頭を下げている場面をよく見かけます。僧侶に対する尊敬の念が篤く、食べ物を提供したり、跪いて拝んだり、乗り物など公共の場では優先席が設けられたりしています。周辺の他の仏教国と比べても、尊敬の度合いが高いように感じます。
輪廻転生を信じ、この世で功徳を積む(タンブーンと言います)ことで来世にご利益があると考えられ、進んで”施し”を行います。お金がたやすく集まるせいでしょうか、物乞いをあちらこちらで見ます。
また、年の表記に西暦でなく仏滅紀元が用いられることがあります。釈迦が入滅した翌年の紀元前543年を元年とし、西暦に543年を加えた値で年を記載するものです。初めて見た時には誤記かと思いましたが、レシートや発行される書類など、日付の箇所に異様に大きな数字が書かれていたら543を引けば西暦になります。

街中にある仏壇
寺院の付近では小鳥が売られています。籠から解き放してやることで功徳を積めると考えられています。鳥は戻ってくるよう調教されているという噂も…

前々回にも書きましたが、現国王は国民から絶大な支持と尊敬を集め、国中いたる所にパネルが設置されています。国王誕生日には、国民が黄色いシャツを着てお祝いをします(タイでは曜日に色が付けられていて、現プーミポン国王がお生まれになった月曜日は黄色)。
朝8時と夕方6時には、テレビや公共の場で国家が流れ、国民は立ち止まって動きをやめ、敬意を表します。この時間帯に音楽が流れ、周りの人が動作を止めたら、それにならいましょう。
なお、タイには王室(正確には、王、王妃、王位継承者、摂政)に対する『不敬罪』が存在するため、侮辱を行うと刑事罰の対象になります。つい最近にも、SNSで王室に批判的な発言を書き込んだ人が逮捕されています(政治的事情があると言う人もいますが…)。

通信事情

2014年時点の電話契約数(出典:http://www.itu.int/en/ITU-D/Statistics/Pages/stat/default.aspx)は、固定電話が569万(8.5%)、携帯電話は9,710万(144.4%)と、携帯電話の保有率が非常に高くなっています。スマートフォンが普及し、Apple製やSamsung製に加え、最近はOPPOなど中国製品をよく見かけます。第四世代(4G)方式による通信に加え、店や公共の場所ではWifiが使えるところが多く、比較的快適にインターネットを使うことができます。
FacebookやLineなどのSNSがよく利用され、電車の中や街中で、メッセージをやりとりする姿を頻繁に目にします。

タイの食事

タイ料理と言うと「辛い」「パクチーが苦手」「トムヤムクン」などを思い浮かべる方も多いでしょう。日本人にとっては辛い料理が多いですが、もちろんそれだけではありません。もっとも、現地の味覚としては、辛味・甘味・酸味など色々な味が混ざったものが美味とされているようです。前述のように日本食の人気は高いですが、味が単一で、薄くて、物足りない、というタイ人もいます。
タイ人は味付けにうるさく、屋台や食堂などでも、具材や調理の仕方に注文を付けているのをよく見かけます。好みに合わせて「辛くしないで(コー・マイ・ペーッ・カッ)」「パクチーを入れないで(マイ・サイ・パクチー・カッ)」と遠慮せずに注文してみるといいでしょう(※末尾の”カッ(プ)”は女性の場合には”カー”)。外国人がタイ語を話すと喜んで聞いてくれるタイ人はとても多く、ヘタなタイ語でも懸命に伝えると、店員さんのとびっきりの笑顔が返ってくるかもしれませんよ。
タイの食事処としては、数十バーツ(100〜200円)で食べられる屋台や食堂から、千バーツ(3,600円)以上のレストランまで様々ありますが、それぞれ値段に関係なく非常に美味しい料理を出す所が多いです。食べ物の料金とは一体何なんだろうか、とあらためて考えてしまいます。

オフィス街のランチ時。屋台が集まっている所に会社員が吸い込まれていきます
タイ料理の定番ガイヤーン(ローストチキン)とソムタム(青パパイヤの辛いサラダ)。注文時には「コー・マイ・ペーッ・ナ・カッ(辛くしないでね!)」と伝えました

皇室のつながり、企業の進出、観光などで、古くから日本との関係が深いタイ。洪水やクーデターなど深刻な事態が起きても、現地では明るくたくましく生活が営まれ、暑い日差しの中ゆったりとした時間が流れています。

これでタイ編は終了です。次号からはミャンマー編をお届けします。
ではまた次回お会いしましょう。