2019.11号 台湾編(1)

皆様こんにちは、株式会社コアブリッジの柳です。
今号から台湾編をお届けします。今回は台湾の基本情報です。

台湾概要

台湾(臺灣)は、中華民国(中華民國)ともいい、英語ではTaiwanまたはRepublic of China(R.O.C.)、あるいはTaiwan R.O.C.と表記します。スポーツの世界大会や国際機関ではChinese Taipei(中華台北)という名称を用います。
中華人民共和国(中国)との関係があるため(※後述)、台湾の置かれている状況は複雑で、国名(地域名)を使い分けなければならない事情があります。
1971年に中華民国に代わって中華人民共和国が中国代表であると国連において決議され、台湾が国連から追放された後、日本とは政治的な国交は断絶しており、台湾と正式な外交を行う国は15カ国のみです。
面積は、台湾本島と実効支配の及ぶ周辺の島を合わせると、日本の九州やオランダと同じくらいです。

台湾が実効支配する金門島から中国を見たところ。対岸は中国の廈門(アモイ)で、距離は数km。
金門島にある北山播音牆。48個のスピーカーが設置され、対岸の中国にプロパガンダ放送を流していた施設。

公用語は中国語(北京語、普通語)ですが、台湾語、客家語、原住民語を使う人もいます。英語はあまり通じず、むしろ日本語のほうが伝わることが多々あります。文字表記には香港やマカオと同様に繁体字(元々の漢字)を使います(中国は簡体字=画数が少なく簡略化された漢字)。
人口はおよそ2,360万人(数字は”STATISTICAL YEARBOOK OF THE REPUBLIC OF CHINA 2018“から引用)、首都は台北です。
日本との時差は1時間(日本が進んでいる)、通貨は台湾ドル(ニュー台湾ドル、台湾元)で、本稿執筆時点でのレートは1台湾ドル=3.6円です。物価はものによりますが、感覚的に日本より少し安い程度です。
台湾本島を北回帰線が横切っており、その北側は亜熱帯、南側は熱帯に属し、夏場や陽が出ているとかなり暑いですが、冬場は冷え込み、暖房設備などないため、防寒具が必要です。
治安は良く、交通や電気、通信などのインフラも整い、何ら不安がありません。
なお、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどで買い物をすると、基本的にレジ袋はもらえません。

入出国

台湾には国際空港が7つありますが、日本からの直行便が到着するのは、台湾桃園、台北松山、高雄、台南、台中の各空港です。台湾の空港は空軍施設と並存していることが多く、その場合には写真撮影は原則禁止です。
入国時には、まず荷物のX線検査を受けます。イミグレーションでは、パスポートと入国カードを提示・提出し、左右の人差し指の指紋を採取(スキャン)されます。入国カードは事前にオンラインで申告することもできます。
出国時には、自動出国機で処理を行うため、審査官の審査なしであっさりと終わります(出国スタンプは押されません)。
なお、過去12ヶ月以内に三回以上の入国実績がある場合には、オンラインで「常客證(常客証)」を申請すると、優先カウンター(Speedy Immigration Counter)で入国審査を受けることができます。
ビザは90日間以内の滞在であれば原則として不要です。

両替、SIM、市街地への移動

空港の制限区域内(入国前のエリア)と到着ロビーに両替所があります。手数料を30台湾ドル取られますが、レートは街中とほとんど変わりません。
携帯電話のSIMカードも同様に制限区域内と到着ロビーで売られています。以前はSIMカードの延長利用が可能でしたが、現在は利用期限を超えた使用はできません。
空港から市街地に行くには、MRT(地下鉄)、バス、タクシーがあり、予算や時間に応じて使い分けができます。

二つの中国と一国二制度

共産党と国民党の対立により”中国”が二つに分裂し、中華人民共和国と中華民国の二国がそれぞれ”中国”政府の正当性を主張しているのが”二つの中国(Two Chinas)”です。先述のように、国際連合としては中華人民共和国を正統政府と見なしています。
“一国二制度(One country, two systems)”は、中華人民共和国が台湾に対して資本主義と高度な自治を認めるというもので、いずれ社会主義の中華人民共和国に統一することを狙って作られた制度ですが、香港やマカオにも適用されています。
現在、中国の支配力強化に対して香港で大掛かりな反対デモが継続実施されているのは周知の通りですが、台湾の蔡英文総裁は「香港の一国二制度は失敗し秩序を失った。台湾はこの制度の受け入れを拒否する」と明言しています。

台湾の離島

台湾には、本島の周辺に大小の島が存在します。詳しくは次回の歴史編で触れますが、台湾の立地上、貿易や防衛において周辺の島が鍵となります。特に、本島の南西側に三日月型に長く伸びた澎湖(Penghu:ポンフー)島や、中国の目と鼻の先に位置する金門(Kinmen:キンメン)島などは、歴史的に重要な役目を担い、また、本島とは異なる性質を持ちます。

今回は以上で終了です。
ではまた次回お会いしましょう。

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