2018.12号 香港編(3)

皆様こんにちは、株式会社コアブリッジの柳です。
今号は香港編の最終回ですが、香港に限定せず、アジアにおける日本企業の進出状況について触れます。

日本企業の海外現地法人数

経済産業省の海外事業活動基本調査によると、2016年度における地域別の日本企業の海外現地法人数は以下のようになっています。

地域 企業数 割合
アジア 16,512 66.2%
北米 3,235 13.0%
欧州 2,900 11.6%
中南米 1,395 5.6%
オセアニア 587 2.4%
アフリカ 178 0.7%
中東 152 0.6%
全世界 24,959 100.0%

上位五位の国は以下です。

順位 企業数 製造業 非製造業
1位 中国(本土) 6.363 3,745 2,618
2位 米国 2,998 1,109 1,889
3位 タイ 2,179 1,255 924
4位 香港 1,163 204 959
5位 シンガポール 1,106 193 913

※数字は経産省の「海外事業活動基本調査」の2016年度実績から引用
※アンケート調査による回答を集計したもので、実際の数とは差異があるはずですが、東洋経済新報社から出版されている『海外進出企業総覧』でも、数値の差異はありますが、おおよそ同じ割合になっています

■日本企業のアジア現地法人数

上記のうち、「アジア」の内訳と、直近5年間の推移は以下の通りです。

2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 直近増減
中国(本土) 6,479 6,595 6,432 6,670 6,363 -307
タイ 1,807 1,944 2,020 2,174 2,179 +5
香港 1,221 1,212 1,172 1,230 1,163 -67
シンガポール 974 1,033 1,037 1,085 1,106 +21
インドネシア 787 867 957 1,018 1,027 +9
台湾 872 907 892 921 898 -23
ベトナム 610 687 740 843 883 +40
大韓民国 759 797 792 818 783 -35
マレーシア 714 731 733 770 769 -1
インド 410 470 495 536 553 +17
フィリピン 468 467 500 531 546 +15
ミャンマー 13 29 54 74 81 +7
カンボジア 22 31 36 45 49 +4
バングラデシュ 25 27 29 27 27 0
スリランカ 21 19 20 23 23 0
ラオス 11 16 14 20 19 -1
パキスタン 17 17 16 18 16 -2
マカオ 6 6 4 8 7 -1
ブルネイ 4 4 3 3 3 0
ネパール 3 3 3 3 3 0
その他 11 12 15 14 14 0
合計 15,234 15,874 15,964 16,831 16,512 -319

※数字は経済産業省「海外事業活動基本調査」の各年度調査実績から引用
※2016年度の実績を基に2017年に調査が行われ、2018年に公開されています。このため、2016年度のデータが、2018年に公開された最新版です

■直近の状況

上記を見ると、おおよそ以下のような傾向があります。
・中国(本土、香港、台湾等を含む)への進出が減少した(撤退が増えた)
・ASEAN諸国への進出が増えている(撤退は減っている)
昨今の米中情勢を考えると、この傾向は次期調査結果でも続く可能性があります。
また、アジアの現地法人の売上高は、数字は載せてはいませんが、中国もASEANも同様に減少傾向にあります。
しかし、経常利益は上昇を続け、過去最高水準にあります。内部留保が増え、製造業の研究開発比は総じて減少しています。

香港編は以上で終了です。
ではまた次回お会いしましょう。

※本文中の数値等は執筆時点のものです