2017.12号 カンボジア編(4)

皆様こんにちは、株式会社コアブリッジの柳です。
カンボジア編最後の今回は、首都プノンペンの様子をお届けします。

街の様子

アジアの他国と同様、車やバイクの数が非常に多く、信号の数が少ないです。歩く人はあまり見かけず、徒歩で移動しているとトゥクトゥク(バイクで車両を牽引する乗り物)の運転手が声をかけてきます。
日本車、特にトヨタ車(レクサスを含む)を圧倒的に多く見かけます。
とにかく渋滞が酷く、朝夕に限らず道路は混雑しています。久しぶりに出張でプノンペンに赴いたときに、5年くらい前よりも車の運転が穏やかになったかなと一瞬思ったのですが、車の数が増えたせいでしょう。
カンボジアでは、タクシーを呼ぶのに、スマートフォンと連動した配車サービスが使われています。UBER(ウーバー)が代表格ですが、カンボジアでは、EXNET、iTsumo、PassApp、CamGoと乱立状態です。
2014年からプノンペン市内には路線バスが開通して、先述のトゥクトゥクに加えて、安価な移動手段になっています。

高層ビルから眺めたプノンペンの街
左側には高層ビルが見えます

治安

深夜に出歩かない、日本語で話しかけてくる人にむやみについていかない、など、海外で当たり前のことに気をつけてさえいれば、身の危険を感じるようなことはありませんが、ひったくりには注意が必要です。
特に、スマートフォンは狙われやすく、背後からバイクで近づいてひったくる手口が多いです。滞在中は外でiPhoneを使う時には周囲に警戒しながら使用しました。
また、交通事故も多いです。
ある出張時に、わずか三日間の滞在中に二度立て続けに衝突事故を目撃しました。一件は、バスを追い越そうとしたバイクがバスからの降車客に追突しました。幸い被害に遭った人はしばらくして立って歩けていたので良かったのですが、警察を呼ぶでもなく、相手に文句を言うでもなく、その場を立ち去っていました…
もう一件は、荷物を載せたバイクに別のバイクが衝突していました。ぶつけられたほうのバイクは過剰な荷物を運んでいたのでただでさえ危ないのですが、追い越しバイクが引っ掛けて、路上に荷物が散乱してえらい迷惑でした。運転マナーなどは無いに等しくらいに思ったほうがよいです。

インフラ状況

カンボジアでは電力不足が深刻な問題で、タイ、ラオス、ベトナムなどの近隣国から電力を輸入していますが、新しい石炭発電所の稼働や水力発電への投資により、2016年はカンボジア国内での電力生産が増加し、輸入量が減ったとのことです。幸い、最近の出張で停電になったことはありませんが、ホテルの廊下には充電式の非常灯が置いてありました。
プノンペンの上水道は、日本の北九州市の協力により、実は飲めるほどです。しかし、他国でもよくあるように、水道管が汚れているため、飲用には適しておらず、ミネラルウォーターを買って飲みます。
道路は、都市部は整備されていますが、少し離れると未舗装のガタガタ道が多くあります。舗装道路でも、スコールが降ると冠水し、渋滞に拍車をかけます。
現在、日本の無償援助により交通制御システムの整備が行われており、100箇所の信号機の設置と、中央制御のための交通管制センターを建設中で、2018年に始動する予定で工事が進められています。
ちなみに、日本はカンボジアへのODA最大援助国です(データはOECDの統計データによる)。

通信事情

電話の普及率は、2016年時点で、固定電話は14.20%、携帯電話は117.09%です(数字はITU(国際電気通信連合)の統計データから引用)。
スマートフォンはだいぶ普及してきていますが、まだまだ高級品で、フィーチャーフォン(ガラケー)も多く使われています。
現地の友人に聞いたところ、
「スマートフォンは、Apple、Samsung、Huaweiの順に人気があるが、前二つは高価なので中華製を使っている人が多い」
とのこと。
通信速度はまずまずで、支障なく使えます。

食事

最後はいつものように食事で締めましょう。
カンボジアの主食は周辺国と同様に米(インディカ米)です。
汁つきの米麺(Kuy Teav:クイティウ)は朝食の定番です。肉や野菜で出汁を取ったあっさりしたスープで、つるっと食べられます。
“アモック”も代表的なクメール料理(カンボジア料理)です。魚の切り身や野菜などにココナッツミルクを入れて蒸したもので、タイカレーに少し似ていますが、辛くなく、日本人の口に合います。アモック・トレイ(魚のアモック)には、雷魚(ライギョ)を使うことが多いようです。
食事で気づいたことで、カンボジアではメニューに牛肉料理が並んでいます。ヒンドゥーの影響を受けているので、周辺国のように牛肉は食べないような気がしていたのですが、どうもそんなことはないようです。
農水省のデータを見ると、日本産牛肉の輸出先は、2016年時点で、一位が香港、二位がカンボジア、三位が米国となっています。
もっとも、BSE(牛海綿状脳症)で和牛の輸入禁止になった国にカンボジア経由で密輸されている、という話もありますが…

アモック・トレイ。日本人の口に合います。
クイティウ。トッピングに牛肉を選びました

歴史的に政情不安を抱え続けながらも近年発展を続けているカンボジア。
先日もカンボジアの最高裁が最大野党のカンボジア救国党に解党を命じるなど、まだ安定感は見えません。
しかし、タイ、中国、ベトナムの次の投資対象国として、ミャンマーなどと並んで注目を集めています。

カンボジア編は以上で終了です。
ではまた次号でお会いしましょう。

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